うつのみこ日誌 参

 自らの不遇な出生に端を発し、見知らぬ親への自己主張が社会機構全体への悪意へすり替わってしまった”魚養”(うおかい)

 政治的な手腕と不釣り合いな優しさを内に秘めていたが為に、愛に溺れ、友情に傷付いた”大津皇子”


 矜持を貫いた二人の最後は、やはり切ないものでした。特に大津皇子はこれまでなんども宇宙皇子との親交を深めていたし、まさかと思いたくなる親友の裏切りによって自害へと追いやられてしまうというのが、あまりに遣る瀬無い….

 これまでまだ子供らしい我儘で小角や政治中枢への不満を口にしていた宇宙皇子でしたが、一人前に恋をし、修行の旅を経て大人達の駆け引きの汚さを目の当たりにして一皮剥ける良い巻だったかもしれない。

IMG_7876.jpg
さようなら大津皇子...




 自らの正義を追い求めるがゆえに、時に怒りを抑えきれない宇宙皇子を見ていると、同じようにモヤモヤしたり胸がすく思いになったりするが、これもひとえに彼と敵対関係にある人々の素晴らしい悪役っぷりの為せる業なのではなかろうか?

 バットマンにはジョーカーが、ジョン・マクレーンにはハンス・グルーバーがいたように、宇宙皇子にも行く手を阻む敵がいる。朝廷には愚か者な草壁皇子や我が子可愛さに政敵を葬った皇后。そしてあちらこちらで二枚舌を活躍させ政治を掻き回す男”行心”(こうじん)だ。

 宇宙皇子や読者が一番許せないのは間違いなく行心に違いない。2巻の段階では彼の真の思惑はそれほど見えて来ないものの、十分に怒りを買う行いばかりである。

 この先も「またお前か!」と言いたくなるほどのしつこさを見せる行心。本当に憎たらしい男ではあるが、彼のようにアクティブに動き回るキャラクターが居なければ、いわゆる"火消し"のポジションにあるヒーローも見せ場が無いというもの。正義が活躍するには悪が必要というのは皮肉な話ではあるけれど...




 生けとし生けるもの全てが大小あれど自分の正義に乗っ取って生きているから、人生は思い通りに行かなくて当たり前。でも意見がぶつかったり、価値観を押し付けられそうになると、ついつい自分の都合の良い方へ持って行きたくなる。未成熟な宇宙皇子に引きずられるように感情が動く僕は、まだまだ子供です。宇宙皇子を全て読み終えた時、少しでも成長しているだろうか?

 今頃思春期の子供が読むべき本を読んで一喜一憂してるようじゃきっと無理ですね(´Д` )

この記事へのコメント