何が正解か誰も知らない。だから人は旅をする。「放浪息子」志村貴子/エンターブレイン

『女の子のかわいい服を着たいという気持ちが抑えきれない内気な男の子・二鳥修一は、転校先の小学校で、背が高くカッコイイ女の子・高槻よしのと出会う。彼女もまた、「男の子になりたい」思いを胸に秘めた女の子だった...』

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 単純に性的な対象を意識した時の収まりのつかなさに慣れていなかっただけかもしれないが、子供の頃なんで自分の股間にこんな物があるんだろうと泣いたことがあった。

 今思い返せば、夜しか家に居ない父を除くと女ばかり(母と姉二人)の生活でもあったし、股間にぶら下がる邪魔な物体と、いっこうに大きくならない胸を姉達と比べてしまって、漠然とした不安感を抱いていた時もあったように思う。



 臆病で大人しかった幼い僕に姉がかけた「○○が女の子だったら良かったのに」という言葉は未だに思い出す。

 あれから僕は大きくなった。がっしりした骨格。でかい手足。もはやあの頃の可愛らしさはない。体毛が少なく色白な肌も、天使の輪が出来るサラサラの髪も消えてしまった。

 けして男に恋をした覚えもないし、男であること自体が嫌では無いけれど、もしも本物の女性のしなやかな躰に生まれ変われるなら迷いはしないことだろう。小中学生の頃、女子と百合な関係になりたいと本気で考えるような男でしたしね....



 「百合男子」なる漫画で百合に1番不要なのは男である自分だと主人公が思い悩んでいたが、まさにその通り....


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 自分は何処へ行きたいのだろう?

 誰になりたいのか?

 まだ何も決まっていない子供達が、性という一番切実な問題と向き合い躓きながらも進んでゆく放浪息子。彼らの葛藤を見ていたら、性的な悩みだけではなく色んな意味で勇気付けられます。自分の中で燻っている気持ちと、どう向き合い生きてゆくべきか迷った時、声高に努力を強制するのではなく、控えめにトンと背中を押してくれる感じ。


 優しいだけでも、厳しいだけでもなく、自分の足で歩み出せるまで辛抱強く主人公達を見守っているような志村貴子さんのテンポが大好きだ。



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