"好き"と躰は運命共同体「起きて最初にすることは」志村貴子/リブレ出版

 以前志村貴子さんのTwitterアカウントで兄弟物のBL画像を見掛けていたものが、とうとうまとまり書店にポツンと1冊残っていた。週に1度しか行かない新刊コーナーで、背表紙を見逃さなかった自分を褒めてやりたい。

 帯には欲情ダメ恋やりチンと、中年男性がレジへ持ち込むのを妨害するような謳い文句。巻末に志村貴子さんが「生まれて初めてのBLコミックです♡」と書いていたが、全然そんな気がしなかった。
  毎度一筋縄でいかない人々が物語を彩っているからだろうか?



 「ぼくは、おんなのこ」では、世界中の人々の性別が突然入れ替わり、「放浪息子」では自分の性別に心が揺れ動く思春期の少年少女の様子が繊細に描かれ、「青い花」はノンケの少女と肉欲的な百合娘の甘くて苦い青春ストーリーが展開。2月に2巻が出た「娘の家出」に至っては、離婚した父親が太った彼氏と暮らしているにも関わらず、デブ好きの主人公は父親の相手を憎めないという屈折した愛が爆発。

 そういった性別に対するコンプレックスを中心に、他人には大きな声で言えない想いを抱える者達が複雑に絡み合う内容が多い志村さんだから、再婚した親の連れ子同士が付かず離れずのBLっぷりを見せつける本作が加わったことも、ごく自然に受け入れられたのかもしれない。


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4年前、親同士の再婚で突然出来た2才下の弟・夏央(なつお)。
兄となった公崇(きみたか)は夏央に勉強を教えてあげると「兄ちゃん」と頼ってきてくれるようになり、そんな弟が可愛くて仕方ないしあわせな日々。
しかしある日、公崇は、自室に男を連れ込みHしてるところを夏央に見られてしまった!
嫌われた上にゲイだと学校で言いふらされ…不登校→退学→ニートの道の公崇。
それでも夏央が欲しくてたまらない。

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 身も心も同性を好きな者。相手を理解してあげたくて努力する者。どう転んでも幸せな未来を予測出来ない二人の歪な絆が切なくてちょっぴり温かい。不憫BLとはよく名付けたものである。元々報われることが少ない同性愛において、健気とは限りなく美徳だと思う。

 BL作家は百合漫画も素晴らしい物を描くが、その逆もまた然りなのかもしれない。

 志村貴子さん、まだまだBLを描く気満々のようなので、次も楽しみであります。




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