基礎が偏ってる漫画家ならではのぶっ飛んだ業界漫画「二次元JUMPIN'」髙橋ツトム/小学館

 漫画業界を扱った漫画は今までに沢山ありました。

 ざっと思い出せる作品だけでも「コミックマスターJ」「G戦場ヘヴンズドア」「バクマン。」「でぃす×こみ」など、一筋縄では行かない漫画家による個性的な作品ばかり思い浮かんでしまうのですが、本作と本作を描いている髙橋ツトムさんの個性だって半端じゃなく面白いものがあります。

 何が面白いって、髙橋さんの経歴からして面白い。バンドやって、暴走族やって、高校中退して、何処をどう間違えたのか、全然読んでも居なかった漫画の世界へと脚を踏み入れ、まんまと人気作家へと成り上がったわけですから。

 髙橋さんの特殊な漫画家デビューが叶った大きな理由は、アフタヌーンと言う面白い個性はどんどん御座れと言う体質の雑誌へ持ち込んだと言う点でしょう。これが違う雑誌社なら門前払いであったに違いありません。ついでに言えばバブリー時代でありましたから、少々の失敗は別口で補填するだけの余裕があり、新たな試みに寛容であったのも大きかったはず。


 だいたいアクが強いんですよね髙橋ツトムさんの作品は。ストーリー自体は結構王道で浪花節だったりする癖に、どう見ても常軌を逸している登場人物ばかりであるし、いかにも化物が陰から出て来そうな作画のタッチも強烈。

 地雷震の終盤以降は、主役やヒロイン周辺等は整った顔になって来たので、ある程度ファン層は広がりましたが、僕が高校の頃に友人達と地雷震の話をしたら、大抵の人は苦手だと言っていました。 



 そんな髙橋ツトムさんが漫画業界を題材にしただけでも十分インパクトがありましたが、まさか漫画家のことを動物園の獣と同じような物だと描いて来るとはある意味ヒヤヒヤ物。長く漫画家を続けて来た自分への戒めのようにも思えて興味深かったです。実際業界ならありえそうなことと、面白みを付加するため誇張された部分とのバランス感覚や、髙橋ツトムさんらしい”覚悟”の見せ方の数々には変な説得力があって熱かった。なんてことはない、舞台や役者が変わっても、やっぱりこれは髙橋ツトム漫画なのだと痛感した次第です。

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※面白くもなんとも無い優等生タイプな主人公。

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※誰がどう見てもマル暴のデカと新人の出会いである。

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※漫画家動物園で見世物になっている動物だと思って接しろと言う

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※ゴーストライターにネームを描かせているような大先生のビックマウスにも注目である。





 売れ行きが伸び悩み自分の絵をがらりと変えてしまうだとか、新しい出版の形に着いて行くのがやっとな出版社から放置され、作品を発表する場を得られ無くなっているだとか、本当に漫画で食べてゆくには辛い世の中になって来たけれど、まだまだこの人の価値観を曲げることは誰にも出来ないのだと確認出来た点でも本作を買って良かった。

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※遠回しに打ち切りの話をしだす先輩二人に...
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※上手いこと言われて面倒な漫画家を押し付けられる主人公。髙橋ツトム流のギャグである(多分)




 やっぱり僕は作品を通して描いている人自身を意識してしまうタイプの読者なのでしょうね。こんな作品を描く人というのは、一体どんな思考の元に生きているのかと気になって仕方ない。きっと不器用で自分を傷つけてばかりいるけど、根は優しい人なんだろうなって、髙橋ツトムさんのことを勝手に想っております(´Д` )


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髙橋ツトム公式サイト http://tao-69.com


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