恐怖は常に己れと在り「闇の奥」ジョゼフ・コンラッド(著)/黒原敏行(訳)/光文社古典新訳文庫

 ”フランシス・フォード・コッポラ”の名作「地獄の黙示録」の元になった小説だと、いつぞやの小島プロダクション(コナミの方針転換で消滅してしまった小島秀夫氏が率いる制作スタジオでありました)の番組で知り、いつか読もうと思っていたのをやっと読みました。

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船乗りマーロウはかつて、象牙交易で絶大な権力を握る人物クルツを救出するため、アフリカの奥地へ河を遡る旅に出た。募るクルツへの興味、森に潜む黒人たちとの遭遇、底知れぬ力を秘め沈黙する密林。ついに対面したクルツの最期の言葉と、そこでマーロウが発見した真実とは。
by"BOOKデータベース"





 はっきり言って難しい本です。マーロウと言う船乗りが、かつてアフリカで経験した衝撃的な出来事を仲間達に語る形式の文章なのですが、執拗に譬え話をして来たり、いきなり先に飛んだと思ったら、少し前に戻って話の続きが始まったりするので、取り留めの無いマーロウのテンポに当てられてクラクラしそうでした(セリフが長い小島ゲームの基礎がここにあるような気がした)
とてもじゃないが僕の読解力ではなんとなしに感じ取ることしか出来ません。


 ただ、伝えたいこと感じて欲しいことだけは、しっかり伝わって来た気がします。それがどういう物なのかを、口にしたり文字にすることは難しいですが、今から100年以上前のアフリカ人が、まだまだ近代的な生活を送っていなかったが故に、外国人から付け込まれ傷つき倒れていたこと、そんな彼らより遥かに搾取する側が恐怖を感じていたこと、そしてそこで独り戦っていた”クルツ”の辿り着いた境地のこと、どれもこれも実際に体感した者にしか書けない”人間の弱さ”が如実に表現された物だったことは確かです。

 アフリカで象牙を集めている会社の一員であった”クルツ”が、深くアフリカの土地と関わり、現地住民を恐怖で支配下に置いて自分の王国を築きつつあった所へやってきた若き日のマーロウが感じた感銘と失望。複雑な心模様なので、何度読んでも新しい発見がありそうです。とてもじゃないが僕は何度も読んで作者の意図を読み解くというのはしたくありませんけどねw



 人生とは知るも地獄、知らぬも地獄。

 同じ地獄ならどちらが良いだろう?と、ついつい思わされる作品でありました.....

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