好きが叶うまでの焦らしが好き勢に捧ぐ「終電にはかえします」雨隠ギド/新書館

 特例(幽霊と人の百合話がある)を除けば、ズバリ何処にでも有る百合である。

 知らぬ間に自分の心を占めていた先輩や同級生に対する、好きの距離を測りかねている少女達の姿が初々しい短編集だ。

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今時の都合の良いことを口走る女の子が
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後輩の顔に貫かれる



 もしかしたらいっときの気の迷いかもしれない。でも、その刹那なに身体と心が感じた愛おしさだけは嘘じゃ無い。そういうのを大事にしてる漫画家さんだとつくづく思った。露骨な性描写が無いのも爽やか。

 雨隠ギドさんは実に女性らしい憧れに素直な方。「甘々と稲妻」では、好きな子連れ教師と料理を作って家族ごっこに明け暮れる少女も出て来る。特別では無いかもしれないけれど、願望への寄り添い方が程良いから好きなのかもしれない。日頃ベタな物に飽きただのいい加減にしろだろ言っていても、根はメルヘンちっくであるから、こんな出会いがあったら良いなと普通に思ってしまうものの、そんな弱い自分を許せない気持ちもあるから複雑であります。


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後輩の男兄弟が勝手に気を回してプレゼントして来たコンドームを前に
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と、思ってみたりする






 かなり昔に、長い期間出張に行かされ、慣れ無い場所での共同生活に疲れていたとき、古本屋で何気なく手にとった谷川史子さんの本でベッタベタな温もりに触れて胸が震えた時のことを思い出しました。

 人生は甘えだしたらキリが無いし、自分の足で立つことを忘れてそれが当たり前になってしまう。けれど自分の強さだけで生きられもしない。ここぞというとき、支えてくれる誰かが居て欲しいというもの。たとえそれが漫画だとしても救われる瞬間が確かにあるのです。

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この投球姿の少女が非常に谷川史子キャラにダブって見えた
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甘々と稲妻の原点?違うかw





 出会うタイミングひとつで、世界は輝きもくすみもする。

 優れた物でなくとも良いのです。

 出会いたい時に出会えた物が人生において特別になって行くのだから。
   








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