1人が全てか、全てが1人か「M3〜ソノ黒キ鋼〜」佐藤順一(監督)/2014年/サテライト・C2C/感想

 ここのところ復活の兆しがあるロボットアニメですが、おっぱいで気を引いたり、中二過ぎていまいちピンと来なかったりと、内容自体はそれほど芳しく無い(アルドノアはかなり良かったと思う)

 では全24話という大きな枠を分割することなく消化させて貰えた「M3〜ソノ黑キ鋼〜」はどうだっただろう?当初の尖ったダークさからは想像出来ないハッピーエンドを迎えたわけですが....





※ネタバレします

 無明領域と呼ばれる謎の空間が東京に産まれ、そこにあったもの入ったもの全てを黒い結晶”屍鋼”に変えて命を奪っていた。しかもその空間の周囲では、屍鋼で出来ている化物”イマシメ”が現れ人々を襲う。国はイマシメに対抗するため人型ロボット”マヴェス”を作り、子供達をパイロットとして選抜してイマシメの撃退を開始した。


 こうして概要を振り返り書いていると、ロボット物というよりホラー色が強かったように思います。冒頭から不気味な闇に追われ仲間を探す子供達の心細いシーンから始まるし、化物が出て来ても建物とかを派手に壊すより人間を一人ずつ狙う怖さが強調されてました。元々人間だったかもしれない化物と戦っているうちに、自分達まで屍鋼化してゆくという悪趣味さも、そういう雰囲気に繋がってましたね。ロボットはあくまでも小道具といったところ。

 無明領域に化物と一緒に現れる白い少女や、次々と屍鋼化してゆく子供達の絶望的な戦いの繰り返しからは、到底ストーリーが何処に着地するのか予想出来なかったわけですが、終盤謎解きが進むうちに、ただ少し他人と違う能力を持っていた少女が、友達に1人置き去りにされたことを怨んで不幸をまき散らしていただけであることが分かり、若干肩透かしを喰らいました。更にあれだけの事態を引き起こした少女と化物が救われる結末であったことが、良かったのか悪かったのか複雑な気持ちです。

 ただ、張本人が罪を償わないのはどうかと思うのと同時に、何年も一人で苦しんで来た白い少女が彼女を支え続けた化物と一緒に幸せそうにしているラストカットは嬉しかった。きっとこんなふうに相手を許す勇気のような物を佐藤順一さんは描きたかったのでしょうね。兄弟、恋人、親友、様々な絆が傷つき心を通わせ成長してゆくのが凄く良かったと思います。精神の同調で人類が一つになる・ならないという非常にエヴァと似たテーマを扱っている本作は、佐藤順一さんから庵野秀明さんへの返信とも取れる作品だったかもしれません。



 人が人と繋がると言うことの不快さ、恐怖、安心感、それらを今までの佐藤順一作品で見た事の無いダークさで表現していたM3でしたが、やはり理不尽で焼き尽くすようなことは出来ない人だなと思いました。それを中途半端と取るか、優しさと取るか、人それぞれでしょうけど、僕はまた機会があったらハードな内容の佐藤順一作品観たいです。

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 公式HP http://m3-project.com

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