まだまだマーニー間に合うよっ『新訳 思い出のマーニー』ジョーン・G・ロビンソン/越前敏弥・ないとうふみこ(訳)/2014年/角川書店/感想

 劇場公開から約ひと月が経とうとしている「思い出のマーニー」

 鑑賞した人達の評価は他の上映中作品と遜色無いのに、先に公開していた作品より早くランキングを下げているのがとても残念でなりません。決して思春期の子供達、特に女の子にだけ感動の波が押し寄せるという作品ではなく、大なり小なり誰しも人生において感じたことが有るはずの孤独感に語り掛けて来るストーリーなので、百合がどうのという気分ではなく、センシティブな少女の心の靄が晴れてゆくまでを見守るつもりで鑑賞して頂きたい映画になってます。

 ぶっちゃけ今回のジブリが苦戦してる理由は、アリエッティで懲りた人が案外多かったと言うことと、百合を全面に押し過ぎた若手のプロデューサーの宣伝がまずかったという2点に限る気がします。作品自体は非常に完成度が高いです。終盤少し説明が過ぎる場面もありましたが、それでも泣ける映画でした...

 特に僕が良いと感じたのが、主人公杏奈のピリピリした精神状態を見事に描写していたことです。冒頭の杏奈の他を寄せ付けない姿には息を飲みました。心理描写が非常に難しい内容ながら、米林さんと作画の安藤雅司さん本当に良い仕事をして下さいました。





 こんな感じで、まだまだ劇場で観たことを思い返すとアレコレと語りたくなる僕の中じゃまだまだマーニー熱が高い所にあるので、岩波書店の1980年版マーニーを読んだ後、角川書店の新訳にまで手を付けたわけですが、読み易い言葉使いや文法に変わったことにより”松野正子”さんの訳したマーニーにはあった独特の趣きまで綺麗さっぱり損なわれてしまったような気がしてしまいました。挿絵にも味わいがあるんですよね80年版には。

岩波書店さんの方は海外の児童書の風情が挿絵にも出ていてなんか良いのよね♪


 元のマーニーを知らない人であれば、一部登場人物の愛称が日本人向けに改変されていても気にならないだろうし、本筋に大きな変化は当然ありませんので新訳版になって良くなった部分も多いから楽しめると思いますが、個人的には松野さんの訳の方が感動しました。まあ連続で読んでいるのだから、感動も半減すると言うのもあるでしょうけどね。 逆に新訳版を読んだ後”松野正子”版を読んだ人の感想が聞きたいですw




 誰もが人様に話せないような想いを抱えて生きていて、その素直な気持ちを全て吐き出せる相手を心の底で求めているはず。主人公”アンナ”にとって、マーニーがまさにそんな存在でありました。もしもマーニーのような掛け替えの無い存在が僕らの側にも居たとしたら、息苦しいばかりの人生がどれだけ生き易くなるかしれません。


 子供とか大人とか、男でも女でも関係無く、抱えた不安を形にして吐き出せない人にこそ「思い出のマーニー」を是非観て・読んで欲しい。本当にそう思います。


新訳は読みやすいけど味わい深さが損なわれている気がした...




 (´-`;).。oO新潮社版もあるけど、もういいよね流石に.......












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