ゴールが始まり。ここまで凄い道程だったなぁ...「天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART1」/小川一水/2014年/早川書房/感想

物語を書くにも、色んな手順が存在する。

ひとりのキャラクターから考える人もいれば、行き当たりばったりで筆に任せる人もいる。

なにかと引き合いに出す僕の大好きな永野護さんのファイブスター物語などは、唯一の縛りである架空の世界年表から書き、それに準じた肉付けを行っていますよね。世界の流れは決まっているのに自由自在に物語が変貌する永野作品大好きですw


 僕はこの手の先に一つのルールを決めて行動するタイプの作家さんが好き。エピソード4から始まったスターウォーズもそうだけれど、しっかりしたバックボーンを先に構築した場所からスタートすると、なにも考えずに始まった場合に比べて肉付けされた部分に説得力が産まれます。アニメだって放送されない設定を沢山抱えている作品には深みがある。 

 そう言う意味での天冥の標は、始めにでっかい花火を打ち上げ、そこに到る500年ほどの月日を壮大に描いているので、まず間違い無くある程度の道筋や設定を用意していたことは間違いありません。

うーん毎回素晴らしい装丁...


 全10巻のはずが何度か前後編等に分かれてしまい、8シリーズで10冊書店に並んでいる天冥の標。最新作「ジャイアント・アーク PART1」でようやく1作目の「メニー・メニー・シープ」へ繋がった。

 何代にも渡り、様々な人間や、人で無い者まで、まるで無限に広がる宇宙のごとく、次から次へと魅力的な登場人物と世界観が現れて来たから、ここへ辿り着いた時の感慨はひとしおでした。あいつの人生も、こいつの人生も、すべてここへやって来る為にあったのだと考えたら、目頭が熱くなります......

 新たな居住可能惑星を見つけ、ようやく地球に帰還した船乗り的な安堵感みたいなものが、作者である小川さんもあったんじゃ無いですかね?


 メニー・メニー・シープを読んだ時、まったくの謎だった用語や設定、そしてイサリという存在が繋がった時、霧が晴れたみたいでした。少し忘れかけていた固有名詞が新刊でひとつひとつ呼び起こされていくのが実に心地良かったですw 主人公がメインで進行するメニー・メニー・シープをイサリやラゴス、フェオドールといった別の視点で描き直しているのも、まるで番外篇を読んでるみたいで面白かった。まさかフェオドールがあそこまで考えていたとは...

 衝撃的なあのラストが実はこういう理由だったという展開にも安堵。主人公があのまま終わったら、人類に夢も希望もありゃしなかったですね(白眼)



 とある植民星に住む主人公やその仲間達が、圧政を敷く統治者に対し戦いを挑み勝利するのだが、誰もが思いもよらない事態へ突入してゆくという1作目メニーメニーシープ。そこからSFというジャンルを越えて歴史を刻んでゆく様は、実に見応えあるドラマに溢れています。

 SFはちょっと〜と言う方でも、本質は人間ドラマなので絶対に楽しめますよね。SFなんて読んだことない知り合いの女性でも貸したらハマってました。カルミアンという片言で愛らしい宇宙種族をやっぱり気に入ってましたねw僕もカルミアン大好きです♡今からでも多くの人に是非天冥の標を読んで貰いたいものだ....



 そして、完結の暁には是が非でも何かしらのメディア展開希望です(ゝω・)b



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