どうやら開かなくて良い扉を僕は開いたようだ...「アイアン・ドアーズ(原題: Iron Doors)」/Stephen Manuel(監督)/ドイツ/2010年/映画/感想

 久し振りに酷い映画を観た。


 馬鹿な男にありがちな「また飲み過ぎちまったぜ」なセリフを吐きながら、見覚えの無い風景で目覚める主人公。

 周囲を見渡すと銀行にある金庫に据え付けられた鋼鉄製扉のような入り口と、ちらつく蛍光灯と鍵の掛かったロッカー、そしてネズミの死骸が転がっているだけの狭い空間。

 おもむろに腕時計を確かめる主人公。

 4月1日 9時32分


 記憶が飛んでいてよく思い出せない男だが、4月1日ということはエイプリルフールか!と若干安堵するものの、いつになっても助けは来ないし鋼鉄の扉は開きそうにない。苛立つ男はなんとかして脱出しようと行動を開始するのだが...




 シチュエーション的には「SAW」みたいな始まり方だし、予告がなかなか良いのでうっかり面白そうに思ってしまうが、とにかく色々としょぼい。

 作り物っぽいセットがしょぼい

 役者達の演技がしょぼい

 脱出の条件がしょぼい

 音楽がしょぼい

 しょぼい...



 見た目だけならMAD-MENのドン・ドレイパー役”ジョン・ハム”に見えなくも無い俳優だが、あまりにも品が無いキャラなうえ良く喋る。おかげでこの男に同情する気に一切ならないし、絶望的なシチュエーションが台無しである。

 もうネタバレでも構わない気がするので書いてしまうが、鍵を見つけてロッカーの中に入っていたハンマーとノミ、ガスバーナー等を使って彼は壁に穴を掘って脱出を試みるのだけど、その先にも同じような部屋があり、その部屋で気を失っていたアフリカ系女性に出逢うことになるのですが、これも非常に蛇足でした。それまでなんとか孤独な緊張感をギリギリ保って来た作品性が一気に壊れてしまったのです。

 ならばそこからお互いサバイバルな気を赦せない怖さが始まるかと思いきや、観客が心の底で期待しているようなモラルを揺るがす事態は起きないし、しかも死にそうな状態で女性の方から男に性交渉を迫り出すから一層ゲンナリでありました....



 もう何を撮りたかった映画なのかワケが分かりません。淡泊なラストカットにもなんの感慨も湧いて来ませんでした。 

 もしかしたら絶滅した人類をなんとか存続させる為に、見知らぬ男女をなんとか交配させたくてあんな風に追い込んだのか?とか、扉の開き方に宗教的な意味でもあったのか?とか、監督や脚本家が隠したメッセージみたいな物があるのかと、後になって考えてみたけれど無意味に思えて仕方無い。

 実際には無意味だとしても、そこにメッセージ性の有無を勘違いさせるだけの何かが有る作品ならば話は違ってくるのだけど、本作はディティールが甘過ぎてそこまで気持ちが高まらないのが痛いです。


 ただ、唯一本作に見所があるとするならば、閉じ込められたせいでどんどんワイルドになってゆく男のサバイバル根性でしょう。

 咽の渇きは自分の靴に溜めた小便で潤し、腹が減ったら死んだネズミに湧いていたウジ虫を喰らう。最後にはネズミ自体が御馳走に見えて来るからキツい話だ...(お食事中の方ゴメンナサイ)


 こいつの生存本能だけには本気で頭が下がるo┐ペコリ 



 それにしても、「TSUTAYAだけ」と歌っているレンタル作品は軒並み酷い映画が多くて困ったものです (= ワ =*;).。oO4月1日に見れば良かった...






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