真犯人は、本の外に居るっ!?「仮題・中学殺人事件」/辻 真先/創元推理文庫/東京創元社/1972年/2004年/小説/感想

月に数冊程度の活字ファンである僕でさえ読む、もっともポピュラーなジャンル”ミステリー”

元より娯楽作品として産み出されたジャンルでありますから、幅広い層に人気があって当然なわけですが、案外大御所な作家のミステリーは頭の中で事件を整理するのが難しいなんて場面もあるので、好きだけどトリックは何となくしか理解して無いなんて人も多いんじゃ無いでしょうか?僕は勿論なんとなく派です♡ (= ワ =*;)

そんなトリック説明読み解くの面倒臭っ!っていう僕のような読者にも丁度良い作品だったのが、今回読んだ”辻 真先”さんの「仮題・中学殺人事件」

作者の軽〜いノリが良いテンポでトントン進むから非常に読み易く、それでいてお客が飽きないアイディア満載で非常に満足感があったりします(よくある鉄道を使ったアリバイネタが分かり易いよう親切に時刻表を載せてくれたりもしてます) ”町田康”さんぽい軽快なストーリーテリングが好きな方には向いてる気がしますね。逆に作者口調で始まる冒頭を薄ら寒く感じてしまったら、そこで読むのを止めてしまう小説かもしれません。

ただ、作者がいちいち入れて来る注釈や、過去のミステリーネタに少しでもニヤリと出来たならば、無類の娯楽作品へと変貌すること請け合いですd(。ゝ(ェ)・)


さて、大袈裟に僕がステマ状態で褒める本作の何が凄いって、冒頭で作者らしい人物がこう断言するところ....

『この推理小説中に伏在する真犯人は、きみなんです。』


読者=犯人だと言うのです。

こう断言されたら、誰でも気になって仕方無くなるでしょ?好奇心からでも、意地悪な気持ちからでも思わずページをめくりたくなるはずです。

終わってみればなぁ〜んだと、大したこと無いミスリードに感じるかもしれませんが、冒頭で作者らしい人物が言う通り、犯人を読者に求めたミステリー作品は世界中でもほぼ皆無であり(僕が知らないだけかもしれないので、辻 真先さんが世界で初めて試みた手法だとは言えません)まさにコロンブスの卵状態で良い手法だったと思います。

犯人の動機やトリック、それから主人公のご都合な設定(読書の虫で元気いっぱいな美少女中学生ヒロインは、読んだ本の知識をそのまま実践出来るスーパーマン)など、少々強引だったり構成に穴がある部分もありますが、それらの甘ささえ愛おしく感じる活き活きとした登場人物(上記のヒロインのワトソン的存在(ただし深い真相は彼が解き明かしている)で無口な"牧 薩次”通称”ポテト”(ジャガイモ)君の地味な見た目にそぐわない洞察力や、ミステリーファンのヒロインが突飛な推理ばかり繰広げるところに常識人ぶって軽口を叩くヒロインの兄など)や、それらを書いている作家役の男のちょっぴり切ない恋心なんかも程よくてとても面白いんです。



あとがきで”桂 真佐喜”さんが書かれていましたが、その面白いはずの軽快さが大人な読者にはウケがあまりよく無かったそうです(本書の初出は昭和47年) あの時代は骨太なミステリー作家多かったですもんねw

当時としては時事ネタであった物がふんだんに盛込まれているのも読者には伝わり難い部分もあるでしょうし、文章が時々現代らしからぬところもあって少し首を捻る場面もあるでしょうが、漫画やアニメを当たり前のようにたしなむ現代人にこそフィットする読み心地なのかもしれません。


200ページに満たない物量でサクッとこれだけ楽しませてくれる辻真先さん、クセになりそうだ♪

本作のスーパーヒロインと愉快な仲間達の続きが結構出ているそうなので買い漁って来ます(。・`ω´・。)ゝ


読者が犯人というアイディアがめちゃ斬新w




辻真先HP http://2323.la.coocan.jp

辻真先Twitter https://twitter.com/mtsujiji

この記事へのコメント

  • 木曽のあばら屋

    こんにちは。はじめまして。
    辻真先「中学殺人事件」をリアルタイムで読んだオールドファンです。
    三部作、楽しく読んだなあ。
    基本救いが無い話なのがいい。
    「読者が犯人」モノといえば、最近では
    深水黎一郎「ウルチモ・トルッコ」という作品がありました。
    2014年03月21日 21:52
  • lain

    コメントありがとうございます"木曽のあばら屋"さん♪

    今でも新鮮味のある読者=犯人ですから、当時なら尚更目からウロコが落ちるネタだったんじゃないですか?邪道とか言う人居たりしたんでしょうかね?

    なんにしてもリアルタイムで読んでたのは良い思い出ですね。いいなぁw



    2014年03月22日 00:20