天国か地獄かポチッとな「運命のボタン(原題「The Box」)」/リチャード・ケリー(監督)/リチャード・マシスン(原作)/2009年/米国/映画/感想

 早朝とある一家の元に届いた謎の小包。

 開けると中にはスイッチの付いた箱と手紙が添えてあり

 「午後五時にMr.スチュワードが伺います」

 とだけ書かれていた。


 何がなんだか分らないままMrを待ち受ける”キャメロン・ディアス”演じる”ノーマ・ルイス”

 時間キッチリに現れた左頬がえぐれた老紳士は、彼女にこう話を持ち掛ける。

 「もし、あなたがボタンを押したら二つの事が起こります。一つは、あなたが知らない誰かが、この世界の何処かで死ぬんです。もう一つは、大金が転がり込む。その額は100万ドル。」

 男を雇っている者の目的も分らないまま、彼女と彼女の夫は男の不可解な申し出に少なからず心が揺らいでゆき、結局ノーマはあっさりボタンを押してしまう。

 男の話通り100万ドルを手にする彼女達。

 しかし、それは逃れられない悪循環へとハマり込む始まりの合図でしか無かった.....




 「アイ・アム・レジェンド」「リアル・スティール 」の”リチャード・マシスン”原作。往年のSF作品らしい、美味しい話と、そのしっぺ返しがあまりにも不条理である嫌な作品ですが、登場人物の不可思議な行動の数々が不安感を煽って、とてもミステリアスな空間を形成しており、最初から最後まで良く練られた展開に思わず夢中になれました。

 ぶっちゃけ人智を越えた神様のような存在が人間を試しているというストーリーであるのですが、教員であるノーマの子供の学費割引中止、夫の不可解な宇宙飛行士選抜落選など、あえてお金が必要な方向へリードし、元々正しい選択を選べない状況に神様サイドが主人公達を追い込んでいるので、不公平感が非常に強い。確かにボタンを押したのは彼女達だが、押させている感が強いために、生理的に受け付けない観客には受け入れ難いことでしょう。評価が二分しているのも理解出来ます。

 
 しかし、そう感じさせることこそ作り手の目的であり、今作へ反感を持つのも、感銘を受けるのも、全て狙い通りなのでは無いか?そう感じてしまう不思議な魅力があるのも確か。科学か魔法か判別出来ない存在を目の当たりにして途方に暮れる主人公達のように、まんまと監督や原作者の手のひらで踊っている自分を、ニヤリと嘲笑出来るようなセンスの方だけが楽しめる映画なのかもしれませんなぁ...

 

 浅はかな人間と、傲慢な魂がすれ違う興味深いSF作品でした (= ワ =*)



 監督 リチャード・ケリー
 脚本 リチャード・ケリー
 原作 リチャード・マシスン『死を招くボタン・ゲーム』
 出演 キャメロン・ディアス
     ジェームズ・マースデン
     フランク・ランジェラ



 公式サイト(英語) http://thebox-movie.warnerbros.com/

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