ナマモノ注意だ演劇だっ「羊人間012」/森本晃司/保坂萌/劇団ムシラセ/2013年/演劇/感想

 いつ何処に飛んでゆくか分らないような、掴みどころの無い創作が得意なクリエーターさんて、皆一応に世捨て人のような風貌をしている気がする。

 国民的アニメを次々産み出して来た”宮崎駿”さんだってそうだし、押井守さんや数年前に亡くなってしまった”今敏”さんなども独特の雰囲気を醸し出していたし、顔出ししない”高山文彦”さんなんて既に殿堂入りと言っても良いでしょう。

 何故に彼等はここまで僕ら普通の人間と住む世界が違ってしまったのか?

 単純に見えている物が違うのか?感じ方が敏感なのか?頭の出来が違い過ぎるのか?


 ただハッキリしているのは、彼等全員終わらない夢を追い続けているという事。

 理想の少女を追い求め。永遠にお祭り前夜を愛し。混沌の中にこそ真実を追い求め。何度となく感情が揺らぐ刹那を描き続ける。それがクリエーターではなかろうか。 

  

 ”森本晃司”さんも、そんな名立たる変人達と並ぶ、世捨て人(見た目)クリエーターであるが、初?の舞台作品がスカパーで放送になっていたのを観てみました。




 元の1人の人間から11人分裂してしまったという”分裂人間”達の物語で、あーでも無いこーでも無いと面白可笑しく騒ぎ立てる内容なんですが、実際に居るか居ないか知れない自分達のオリジナルの話をきっかけに分裂したままで良いと言う意見と、元の一つの生命に戻るべきだという意見が対立する展開になってゆきます。

 この辺りから終盤まではエヴァっぽいテーマを感じてしまうわけですが、全体としては何処にでも飛び火しそうなコミカルさが非常に刺激的で面白い作品となってまして、水に濡れると融けてしまうだとか、感情や五感が全員に伝染するだとか、分裂だけじゃなくて統合出来るとか、分裂人間達の特徴一つ一つで舞台全体が動いているのが伝わって来ます。

 これは森本さんの突飛な引き出しの多さが素晴らしいのもあるでしょうけど、それを実行してみせる役者達の稽古の賜物でもありますよね。役者達を翻弄する側でも、翻弄される側でも、演劇を一から作るのはさぞかし楽しいことなのでしょうなぁ。

 場面転換を多用し、分裂人間以外の人間の配置で時系列を惑わせるなど、いたずら好きのオジさん達が考える演出は本当に面白い。森本さんの新たな試みであるので、少々まとまりが悪いところはありますが、感性をそこら中に引きずり回される感覚がすこぶる心地良い内容でした。ちょっぴり切ない終わり方も良いし、”たむらぱん”の田村歩美による音楽もピッタリ(公式HPでサウンドがONだとテーマ曲が聴ける)。

 またこういう機会があれば、もう一度演劇を森本さんには創って欲しいですね。


 
 アニメ監督で有名になった人っていうのも、たまたまアニメでの創作を認められたというだけの話しで、必ずしもアニメじゃなきゃ駄目ってわけじゃないなって、つくづく思いました。

 得手不得手はあるけれど、アニメ畑だから浮かぶアイディアは絶対にあると思います。昔演劇部だったと語る森本さんのように、演劇界からアニメ演出に進出するのだって面白い。

 アニメ好きだからアニメ。演劇好きだから演劇。そんな凝り固まった考えではクリエイティブは絶対行き詰まります。


 今の御定まりなアニメ業界にも、新しいジャンルからの刺激を取り入れて欲しいなぁ....




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