とうとう”サラ・ルンド”の事件簿に幕が下ろされた。
否、厳密には、まだ彼女の戦いに幕は下りていないのだが...
事件が起きて肉親が嘆く家族パート(シーズン2はちょっと意味合いが違う)
事件にのめり込んでゆくサラ・ルンドの捜査パート。
そして、あーでもない、こーでもないと醜い権力争いを繰広げる政治屋パート。
「THE KILLING」は、主にこの3パートをローテして進んでゆくパターンはほとんど変わらない。サラ・ルンドの家族話や、相棒が毎回何かと面倒を引き起こすのも同じだ。これがキリングの特徴だと言えます。
しかし、信頼している誰かが嘘をついていたり容疑者が二転三転する展開などもパターン化しており、その為まったく違う種類の事件なのに、何処か類似点を感じてしまい、最初のシーズンほどのドキドキは、シーズンを重ねるごとに薄らいでしまいました。それでも面白いのは面白いのですが、サラ・ルンドの私生活以外あまり見るべきところが無くなってましたね。これはキリングだけの話じゃなくて、シリーズを長く続けるドラマならどの作品も抱えるジレンマだと言えるでしょう。
ただ、それでもこのシーズンの終わり、サラ・ルンド最後の事件の衝撃は大きかった。
自分の家庭を壊してでも他人の家庭を護る為ひたすらに犯人を追い求めた結果、自分のやり方を組織に拒絶されて飛ばされ、それでも彼女の情熱が認められて復帰し、今度は家族を大事にしようと打ち込み続けた現場を去ろうと決意した矢先の大事件。彼女は事件など興味は無い素振りで事務職に就こうとしているのに、周りはそれを望まない。上司も、同僚も、恋人も、事件も....
せっかく家族を大事にしようとしていた彼女が、最後の最後まで、自分を犠牲にして事件を解決に導いたことが本当に苦しい、哀しい....
きっと日本人の製作なら、彼女に犯人との会話を録音するような周到さを与えることだろうけど、僕は、この不器用な実直さこそサラ・ルンドの美徳であると信じているので「これしかやりようが無かったのか?」という想いは胸に仕舞っておこうと思いました.....
そうは思っていても、やっぱりこれで終わりなのは正直残念だし、あの後のサラ・ルンドの物語も見てみたかった。シーズン3のラストが、デンマークTV市場最高視聴率を65%に更新したと言うのに、何故にこれで終わらせてしまうのか?と、いう気持ちは騙せません。
蛇足になるかもしれないし、ハッピーエンドはサラ・ルンドや北欧社会に似合わないかもしれない。でも、それでも彼女が最後に家族と泣き笑いする姿で僕は終わって欲しかった。
いつか、このエンディングの続きをやりたいと、サラ・ルンド役の”ソフィー・グローベール”が言い出してくれればいいなと、僕の中でちょっぴり未練が残るほどの良いシリーズでした(。ρω ;。)
関連過去記事
『北欧はチョコレートよりミステリーがお好き「THE KILLING シーズン3」/スーパードラマTV/デンマーク/2012年/海外ドラマ/感想』
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