これが東映創立60周年記念作品か....(´-`;)ウ-ン「北のカナリアたち」/阪本順治(監督)/湊かなえ(原作)/吉永小百合(主演)/2012年/映画/感想

 稚内より北にある離島で、その昔教師として働いていた”川島はる”の元を刑事が訪れ、分校での教え子”鈴木信人”が殺人事件の容疑を掛けられていることを知り、彼が自分の連絡先を持っていた理由を知るため、分校に居た残り5人の生徒達それぞれの元を訪れ、川島はると子供達にとって忘れられない20年前の事故の想い出を生徒一人一人と邂逅することになる。

 という映画かと思いきや、実は…..みたいなどんでん返しを含んでいるものの、別段驚くようなレベルではありませんでした。

 展開としては、当時の”あの”事故の時どう感じていて、今はどう思っているかを生徒達それぞれが先生相手に語るテイストになっており、どことなく湊さんらしい「告白」スタイルのような感じ。子供達の語りによって少しずつ過去に起きた事故にいたるまでの人間関係が見えて来ると言うものでした。 

 しかし、映画の演出が悪いのか?”湊かなえ”さんの短編がそれほどでも無いのか?原作を知らないのでなんとも言えませんが、ミステリアスにはほとんど感じなくて、普通にお涙頂戴の安っぽさが鼻についてしまい、このレベルならテレビSPかなにかで放送して終わりで良いのでは無いかとさえ思いました。

 役者は豪華の一言。主演の”吉永小百合”さんを筆頭に、里見浩太朗、柴田恭平、中村トオル等のベテラン揃いだし、主演でもおかしくないような若手”宮崎あおい”や”松田龍平”、「悪人」で見事な演技を見せた”満島 ひかり”なども名を連ね、これで良い映画にならなかったら誰の責任だ?と映画会社の人事問題に波及しそうなギャランティが動いたに違い有りません。

 ところが、この豪華さが逆にバランスを崩しているように思えました。まず主演の吉永小百合さんと里見浩太朗さんが親子であることの違和感。夫婦ならしっくり来た。劇中は柴田恭平さんが旦那さん役をしているわけですが、これがまた役者の色が吉永さんと違うからフィットしてない感たっぷり。役者の演技スタイルによって相性ってあると思うんです。

 宮崎あおいさんや松田龍平くんはそれぞれそれなりに良い仕事してましたが、”小池栄子”の演技がそれを台無しにしてたし、個々の善し悪しはあってもトータルでバランスは非情に悪い映画だと言えます。 主演ばかりを経験して来た良い役者っていうのは、我の強い人が多く、周囲の雰囲気に自分が合わせることに慣れていないのでしょう。そこら中にキムタクが居て演技してるみたいに違和感ばかりが残りました。



 個人的に唯一良かったと思うのが、分校の生徒達の子供時代、川島先生に促されて上手に合唱しているシーンが多かったこと。北の果てで綺麗な歌声を響かせる幼いカナリア達。この澄み切った透明感こそが、僕にとって、この映画の全てでありまして、色々と個人的にはピンとこない部分が多くても、彼等幼いカナリアの歌声には、赦し赦され「生きる」という事の尊さを充分に伝えられる力がありました。 中学の頃、授業や合唱コンクールで皆と歌うのが大好きだった僕にとって、最果ての分校の子供達が歌で繋がる姿は胸を打つ物があったのです。



 いつかあの頃の仲間たちと、懐かしい歌を歌い合えたらどんなに心地良いことだろう?

 そう考えるとついつい涙ぐんでしまいましたよ…...(´;ω;`)







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