茨の道を抜けた先には「されど修羅ゆく君は」/打海文三/徳間書店/1996年/小説/感想


 ハードボイルドな探偵物、アーバンリサーチシリーズ第2弾。

 終わってみれば、殺人の疑いをかけられた探偵崩れの色男の為に、少し大人びた登校拒否の13才少女と、熟し切っても女のプライドは錆び付かない60歳越え婆ぁが張合って事件解決の為に行動するという話なわけですが、序盤のミステリー色溢れた展開の後「そんな奴ほっとけ」で済ませたくなる痴情のもつれによる殺人事件でしか無いことが見え始め、モテモテな探偵崩れの色男がずるくてずるくて殴りたくなりましたw

 一歩間違えればただのストーカーになりそうなほどのお節介(正義)を女性に押し付け、誰にでも振り撒く優しさと下半身のだらし無さが産んだ悲劇であり、ぶっちゃけそんな男は燃やせないゴミに出してしまえば良いとさえ思った。

言うまでもなく、僕が女性とムフフな関係になった事が無いからそう感じるわけですけどね....





 殺人犯にされてしまいそうになった色男や、60歳を越えてもなお若い男とセックスをしたがる婆ぁ”ウネ子”、13歳の少女の行動力に振り回される中年探偵等々の、世間一般でいう「普通」から弾かれてしまった全ての登場人物達から安心感を感じてしまう。

 「この人よりはマシだ」

 「この人は僕と同じだ」

 そんな見下しであったり、親近感でホッとしてしまうのです。これは相手に失礼であるのと同時に、自らを蔑む行為でもあるので、褒められた話ではありませんがね。

 
 
 脛に傷ある連中が男前なところを見せたり、社会的立場を全てかなぐり捨て、どうしようもなく愚かな欲求に身を委ねてしまう姿を見せるのが、どうしようもなく愛おしくなる。

 完全じゃない世界で、自傷しながら生き続けることを止められない僕らが、誰かを、そして自分を愛したくなるのだ。



駄目な人間やマイノリティに、温かい読後感をくれる打海文三さん大好きです。



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『ハードボイルドは人生の吹きだまり「時には懺悔を」/打海文三/角川書店/1994年/小説/感想』
http://lainblog.seesaa.net/article/302714429.html

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