まいごのまいごのおまわりさん「迷子の警察音楽隊」/エラン・コリリン(監督)/2007年/イスラエル/映画/感想

『 ”アラブ文化センター”での演奏を依頼されイスラエルへと降り立ったエジプトの音楽隊だが、出迎えも無く途方に暮れてしまう。


 なんとか目的地へのバスに乗り込むことが出来た音楽隊一向。しかし辿り着いた場所は目的地と一文字違いの寂れた町だった.....』





 だいたい軍隊や警察組織には音楽隊が実際にあります。


 日本でもアメリカでも韓国でも。



 ただ、その音楽隊がどんな活動をしてるかなんてあまり知られていないと思います。


 ていうか眼中に無いですよね(白眼)



 このエジプトから来たと言う警察音楽隊も同じで、とにかく誰にも注目されていない感たっぷり。何をやっても誰の眼中にも映らないかのような扱いを受ける。バスターミナルへ迎う途中写真を撮らせてくれと言われて綺麗に並んでみても、清掃係が気も止めずにフレームに入り込むし、田舎のヤンキーには小馬鹿にされるし、迷子になって辿り着いた町で泊めて貰った家の家族には白い眼で見られる始末。とにかく自信とか覇気を感じ無い頼りなさなのです....


 この辺りの描写は、エジプトとイスラエルの関係性が強く表現されているらしく、微妙な距離感で国同士が繋がっていることへの皮肉が籠められているそうだ。


 正直中東は複雑過ぎて良く分らないけれど、迷子になった警察音楽隊の実直過ぎる隊長と、その仲間達の不器用さがとても切なく愛おしく感じられました。


 特に迷子になった先でぶっきらぼうに面倒を見てくれた女性に、少しだけ心を解きほぐされ笑顔を浮かべた隊長が、結局自分の不甲斐なさに打ちのめされ、渋さのギアを少し上げた感じで歌を歌いつつ演奏が始まるラストが良い。




 この手の政治が織り込まれた作品は、その背景を知らないと楽しめないとか、知らないで感動してはならないと頑なに語る方もいますが、これは素直に一つの映画として観て良いと僕は思います。


 自分が大事にしているものが、いったいどれだけ周りに必要とされているのか?


 誰でも不安になることがあるはず。


 そんな不安な想いをしている人達の肩に、そっと手を添えてくれるような温かさと切なさがほのかに残る良い映画でした。




 上手くいかなくても良い。不器用でも上等だ。


 生きることは難しいから面白いのだから。










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