奇跡なんて起きなくとも、子供は毎日を元気一杯生きている「奇跡」是枝裕和(監督)/2011年/映画/感想

 僕には子供がいない。

 というか結婚したいとか、人生を掛けて付き合いたいと言う女性自体いない。

 姉の子供2人はしょっちゅう実家である我が家に預けられ、きゃっきゃ騒いでは怒られている。

 僕はそれを五月蝿いなと眉間に皺を寄せて距離を置く。自分と同じような顔をした生き物を側に置いておきたいとも思わないし、子供の扱いは良く分らない。


 でも身近な子供ではなく、スクリーンの向こうの子供の無邪気さには僕の眉間も緩んでしまう。

 他人と身内の子供の差は、自分が受け持つ責任の大きさの差なのかもしれない。

 ともかく他所様の子供の無邪気さは、なにかとギューギュー詰めな僕ら大人の人生に潤いをくれる。




 親が離婚し、火山活動がまだまだ活発な鹿児島県と福岡県に分かれて住むようになった兄弟が、いつか親子4人でまた暮らせるようにと、願いが叶うという新幹線がすれ違う瞬間を求めて仲間達とちょっとした冒険を敢行すると言う作品で、いつもなら絶対スルーするような人情に溢れる映画なのだけど、兄弟を演じる主演の”まえだまえだ”が非常に可愛くて、こんな子供なら欲しいかもとか柄にもなく考えてしまいました。

 火山の灰が舞い散るのが当たり前の鹿児島に住む兄は、長男らしく責任感や危機感を持っていて新幹線が起こす奇跡に切実な想いを持っているが、福岡の弟は真逆で兎に角なんでも笑って楽しみに変えているため、保護者失格な父親の面倒を見るのも、たこ焼き屋で値切り倒すのも、クラスの女子と軽口を叩き合うのも笑顔笑顔である。

 完全にリア充と非リア充の対比になっている兄弟だが、お互い家族を想う気持ちは一緒である。一生懸命に子供達だけで電車代を捻出する(主に兄側の連中だがw)姿も実に微笑ましい。

 
 なにかと苦心した結果、彼等は無事新幹線がすれ違う瞬間に願い事が出来たわけだけど、そこに到達する過程で彼等なりに成長を遂げ、願い事は変わっていた。少し大人になったのだ。

 終わってみればなんてことの無い都市伝説に、ついついすがりたくなった子供達の切実な想いが、この小さな冒険によって開花したのです。この懐かしく淡い感じがとても暖かい映画でした。


 僕もこんなに無邪気な笑顔を見せていたのだろうか?

 度重なる後悔に曇った顔を鏡で見ながらそう思った。

 
 子供も作らず。子供にも戻れず。こんな宙ぶらりんな存在の自分には、彼等の笑顔は眩し過ぎますね。特に弟役の”前田 旺志郎”の天真爛漫な我が道を楽しむ姿は羨ましい限りw新幹線を観に行った仲間も女の子ばかりのリア充ですしねww

 ほんと是枝監督の子供ごとにナチュラルな魅力を引き出す手腕は絶品です。全編”くるり”のプロモを観てる気分になる音楽のマッチングも上手。

 

 下手に子供を作る素晴らしさを訴える作品より、こんなナチュラルな子供の姿をフレームに収めた作品を作った方が少子化に歯止めが掛かりそうな気がしました。

 まだ観たこと無い是枝作品の「誰も知らない」や、「空気人形」もチェックしたくなりましたね。

 邦画の食わず嫌いを少しずつ治して行きたい。

 こんな表情を見れるのならば尚更だ♪



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