自然を見つめるように、人を見つめる男の美学「トゥ・ザ・ワンダー」/テレンス・マリック/2013年/米国/映画/感想

 ”テレンス・マリック”氏の映画を見て一歩劇場から出ると、周りの風景がいつもと違うものに感じる。虚しく空々しいのに、何処か優しく温かい。


 それが自分の希望的観測なのか、真実世界が温かいのか分からないけど、確かに自分はここに存在し温もりを感じている。僕がその時々の些細な勘違いで何かを信じてしまう流され易い生き物だからだろうか?


 たとえそれが一時の事だと分かっていても、もしかしたら今度こそはと淡い想いを抱かずにいられない僕ら人間は、命が終わる瞬間までこんな風に迷い続ける。愛に、夢に、「生きる」と言う全ての事柄に。


 



 従順な神の僕さえ自らの信じる道を疑わずにいられない世界で、2人の男女がいかに愛し合い、傷つけ合って別れを選んでしまったかを、時折二人を見守る神父の視点を交え延々と描いてゆきます。


 いつも通りセリフは少なく抽象的で、野暮なセリフが無い分2人が愛を育むロケーションの美しさがとても際立っていました。特に序盤のフランスがあまりにも澄んだ景色で、ひと呼吸するたび現地の空気が僕の身体の中へ溶け込んで来そうなほど圧巻でした。



 しかし美しい表現と相反し、今回はあまりにも男女の愛の無力さばかりが際立った内容なので、「ツリー・オブ・ライフ」 のような内側からこみ上がって来るような感動への高まりがありませんでした。正直な事を言えば、季節が変わるように移ろいゆく男女をメインに描くのではなく、もう少し人間関係に幅のあるドラマが欲しかったです。信仰心が揺らいでいる神父を演じる”ハビエル・バルデム”が非常に良かったので、彼を中心に色んな人々が絡むような話が観たくなりました。


 僕がもっと異性との関わりをもっている人間ならば、また違った感想をだったかもしれません。残念ながら僕にはひたすら重く疲れるような虚しさだけが募りました。




 人間も自然の一部であり、この世界には神もなく愛もなく、ただ生だけが存在している。



 無理やりに納得しようと思えば、監督の感じて欲しい事はそういうことなのかもしれない。


 あなたならこの風景に、いったい何を感じるだろうか....


相変わらず形容し難い作品だった#Picfx



















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