ジブリの双璧”高畑勲”の問題作「平成狸合戦ぽんぽこ」/高畑勲/ジブリ/1994年/感想

 7月に入ってから金曜ロードショーで宮崎駿監督の新作「風立ちぬ」公開記念と題してジブリ作品ばかりを(毎年夏はジブリな気もする)放送していて、もう何度目か分らない「耳をすませば」が第一弾で登場し、Twitterでは”聖司”くんの用意周到なストーカーっぷりにわいわい盛り上がっていました♪

 しかし、先週の金曜日はどうした事でしょう?今週はジブリ無いのかと思うほど反応している人が少なかったです。タヌキが嫌いだったのかなぁ?それとも高畑さんの事が.....ゴクリ



 斯く言う僕も正直「平成狸合戦ぽんぽこ」は好きではありません。しかも最後まで観た事があったかどうかさえ記憶に無かったので、今回ちゃんと最後まで観てみました。

 高度成長期に野山を削り開発を進める人間達に怒り心頭のタヌキ達が”化け学”を駆使して仕返しをすると言う内容なわけですが、今観るとあまりにも皮肉が過ぎる作品だと感じましたね。

 タヌキが化け学で仕返しをした事で人死にが出ているのにタヌキはお祭り騒ぎをしだすし、ダンプに轢かれたタヌキ達が死に際に「人間には敵わないや」と、ひょうきんな顔で言うし、一見可笑しいシーンに見えて、その中身はドロドロとした恨みつらみでしか無く、これでもかと僕らの罪悪感を煽るのがどうも好きになれません。これでも高畑さんのぶちまけた毒を、なんとかアニメーションとして多くのお客さんに観て貰えるように、周りの人達がオブラートに包み直したのでしょうけど.....


 環境を大事にしたいと思う事は美しいと思いますが、観客が同じ生き物としてタヌキなどの野生動物に共感出来るように人間のような身振りをさせ、言葉を話させ、人間の文化にかぶれてゆく姿を描く事は、野生動物を自分達と同等の存在だと思っていない証拠にも思えますし、単に自分に都合の良い方向へ誰かを誘導したいと言う欲求が爆発してしまっただけに感じ、動物達の尊厳を護りたい人達が、逆にその尊厳を踏み躙っているように思えてなりませんでした。もしも人間の言葉が理解出来ていて、この映画をタヌキ達が観たとしたならば、それこそ怒り心頭で人間達を赦さない事でしょう。

 こんな中途半端に環境に優しいアニメにするくらいなら、いっそ環境問題は棚に上げて、楽しく化け学を使って人間社会に溶込む姿だけを面白可笑しく描いた方がジブリらしかったと思います。少し固過ぎましたね、子供向けなのにw

 
 とはいえ、高畑作品から現実感や自然との共生を取り去ってしまうと、何も残らないでしょうし、「火垂るの墓」や「おもひでぽろぽろ」のように良い方向に転がる例もあるわけで、やり過ぎない程度にこれからも自然をテーマに作品作りをして貰いたい気もしなくもない。

 「ホーホケキョとなりの山田くん」での苦渋を晴らすチャンスをやっと手にした高畑さんの新作『かぐや姫の物語』が、一体どんなものになっているのか、観てみたいような観たくないような複雑な心境になる狸映画でした.....

 




 追伸、高畑作品の1番良い所は、主題歌だと思います。異論は認めません( ´,_ゝ`).。oO上々颱風、都はるみ、Amelita Galli-Curci.....









 
 金曜ロードショーHP http://www.ntv.co.jp/kinro/

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