こんな狂気待ってた...ゴクリ「私が、生きる肌」/ペドロ・アルモドバル(監督)/アントニオ・バンデラス(主演)/2011年/スペイン/映画/感想

 最愛する人を失った時、人は狂気に走ると言うけれど、幸か不幸か喪失の反動で狂うほどに誰かを愛した事も愛された事も無い。



 
 予告編と同じく、頭部以外全身タイツな女性がいきなり現れて困惑するこの映画、有名な形成外科医が死んだ奥さんそっくりに「誰か」を作り替えると言うとんでも無い作品で、監禁されて身体を弄くり回された女性と外科医の奇妙な関係性から一時も眼を離す事が出来なくなっていきます。

 オープニングから数十分後から中盤に掛けて、少々滑稽に見える場面もありますが、男が女性を監禁しここまでする理由が見えて来ると男の屈折した愛と狂気の正体が見えて来る構成は素晴らしいです。


 
 ※ここから少しネタバレを記載。




 娘の自殺に関係する男を監禁して性転換手術を施し、しかも浮気していた亡き妻そっくりに作り替えると言う男の復讐劇は前例が無いほど衝撃的でした。2人の女性に対するそれぞれ捨て切れない想いが、男を異質で異常で異様な狂気に駆り立てていました。だいたい娘の死の原因を作った男を最愛の人に似せて作り替え、最後には愛してしまうなんて、形成外科医の男の頭には虫が湧いてるとしか思えない…..




 これだけの狂気は”アントニオ・バンデラス”の冷徹な表情無しには完成しない作品でした。真顔で医療器具を使ったり、自殺未遂した女性の傷を縫ったり、ほぼ笑顔も無く”ヴィクター・フランケンシュタイン”が死体を組み上げるがごとく、女性を理想の身体に作り上げてゆく彼の落ち着いた姿は存在感たっぷりでした。

 こんな自慰男に強制的に作り替えられている女性の一時抱く勘違いな愛と、男の狂った愛がそのまま続くわけも無く、最悪の結末が待っている今作。ドロドロした人間関係がやりきれないが凄い映画でした。

 最後がイマイチ普通だった気もしますが、中盤から終盤に掛けての面白さは絶品です。

 ”ペドロ・アルモドバル”監督の作品は「キカ」以来だった気もしますし、他のも興味湧きました (= ワ =*)



 公式サイト http://www.theskinilivein-movie.jp

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