朽ちた壁と茂るツタ「廃墟少女」/尚月地/講談社/2013年/漫画/感想

 世の中には『廃墟マニア』なる人達がいて近年増加していると聞きますが、確かに廃墟の時間が停まったような佇まいは妙に落ち着くところがあります。

 人為的建造物が人の手を離れ自然と融合し新たな秩序を作り始めている姿は、なんとも言えない神秘さがありますよね♪



 そんな廃墟と思春期の少女を組み合わせた本作は、女性作家とは思えないレベルの情報量で廃墟が描き込みされており、作者の独特なタッチが退廃的な世界感にマッチしていました。

背景が良い♪


 ストーリーは全体的に荒削りですが、終わり方がとても良いし、キャラ絵が美麗な分あえて崩した時のギャップも面白い。ついでに男の子キャラのきわどい姿もエロティシズムを感じさせて素晴らしいので腐女子大満足♡

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 この漫画家さんなら”江戸川乱歩”の原作をいい雰囲気で描けそうな気がしますね。”長田ノオト”さんとはまた違った耽美な明智&小林少年が見れそうですよ♪



 今回の廃墟をモチーフにした短編集は、ほとんどがちょっぴり恐くて切ない物語で、少女2人の淡くて危うい友情物から、音楽が「見えて」しまう道を失った音楽家の苦悩話や、亡き兄を慕っている少女に兄のフリをして接しているうちに心惹かれてゆく男のなけなしの勇気が見れるお話など、どれも個性的で面白かったですが、作者があとがきで書いていた通り一作だけギャグ満載で毛色の違った最後に収録されていた「帽子の上の丘」と言う話が1番面白かったです。

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 貴族や金持ちに派手なだけの帽子を売りつける帽子職人の”トーマ”が、うっかり迷いこんだ廃墟から抜け出す為に廃墟で出会う人全員にそれぞれ合った帽子を作る羽目になり、そこで失いかけていた職人としての魂と亡き母への想いを取り戻すと言うお話で、非常にキャラが立っていて帽子職人と助手のやり取りが絶妙だし、しっかり良い話も盛込んでいるので一粒で何粒も美味しいくらいまとまりが良かったです。少し設定を弄ればシリーズ化しても良いくらいw



 ちょこっと読んだデビュー単行本の『艶漢』も美麗なキャラ&バックの描き込みが個性的で良いし、ギャグと毒のある展開がバッチリ好みなので次は艶漢を読もう♪ v*‘ω‘ )



 尚月地公式HP http://naotukiji.main.jp

 作者ブログ http://blog.naotukiji.main.jp/

この記事へのコメント

  • 侑花。

    絵がステキ!夢みたいです。
    外国の風景を見ているようです。
    そして何より、読む者に勇気を与えてくれて
    正しい生き方をしている人は必ず恩恵があるというか
    心の中のプレゼントがあるというところに
    頑張る気持ちが出てきました。ありがとう!
    音楽が見える男、帽子の上の丘は特に心に響きました。
    2013年03月17日 10:27
  • lain

    侑花。さんコメントありがとうございます♪

    ぽっかり開いた心の穴に、何か残していってくれる味わいがありましたよね。これからも尚月地さんの作品楽しみです♡
    2013年03月18日 06:36