このバイタリティは何処から湧いて来るのだろう....ゴクリ『聞かせていただき光栄です』/皆川博子/2011年/早川書房/小説/感想

 少し前にプロスポーツ選手の誰もが避けられないのが「引退」だと書きましたが、同じく『プロ』の世界の作家である”皆川博子”さんには必ずしも当てはまらないのかもしれません。

 御歳80歳を越えると言うのに、若手に負けない物量の新作を発表出来る事は、驚きより恐怖が勝るほどの事実ではなかろうか?

 しかもそれが面白いから凄過ぎるw



 元々特定の作家(森博嗣・田中芳樹・小野不由美など)の本ばかり読んでいた僕が、色んな作家さんの本を読むようになった頃出会ったのが皆川博子さんの『倒立する塔の殺人』だった。

 意味が分らないのに惹かれてしまうタイトルと、百合の香りがバンバンして来る表紙の雰囲気に乗せられて購入。戦時中のミッションスクールで起きる事件と少女達の危うい青春がなんともいえずあっという間に読み切った覚えがあります。

 あとで70歳をゆうに越えている作家さんだと知り本当に驚きました。表紙の絵柄選びが若々しかったですからねwその後も若い世代が喰いつき易い表紙の作品が続きましたし、僕みたいに今の皆川さんを好きになった方が一杯いる事でしょう♪



 で、今回は『開かせていただき光栄です』を読みました。

読み終わりました。トーマの心臓やポーの一族など、萩尾望都さんの作品が好きなら断然オススメです♡


 『18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が…解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む。』
※Amazon内容説明より



 世界の中心とも言える発展っぷりを見せていた当時のロンドンの栄光と退廃が見事なディティールで書かれており、まだまだ忌み嫌われる存在であった解剖学の不気味さや、変質的な色事、法を司る者達のどす黒い懐具合等、人を見たら泥棒と思わなければ生き残っていけない時代を上手く感じさせてくれました。

 そんな裏表の激しい街で解剖教室の先生と青年達の師弟関係がとても良かったし、少年達の内に秘めた純粋ゆえの凶暴性が得も知れない恐ろしさと美しさを感じさせるミステリー展開も素晴らしい。トーマの心臓やポーの一族が好きな人には断然オススメ!!

 もしもコミカライズするのなら絶対”萩尾望都”さんしかいないと思います。というかして欲しいwww


 
 魅力的な時代背景&登場人物が美味し過ぎる今作。終わってみればある意味王道で期待を裏切らない作品かもしれませんが、秀逸な完成度の為とても良い読書をした気分になれます。

 皆川さんは高齢ではあるものの、文章に難しい言い回しを多用しないので、比較的同年代の作家に比べると読み易いのも嬉しいところ♪色々と詮索して楽しむミステリーと言うよりは、素直にコロッと騙されて読むのが吉な本かもしれません。ラストの清々しさをより一層楽しむ為にも、皆川さんのミスリードに引っ掛かりましょう♡( ´,_ゝ`)プッ



 あまりにもキャラが立ち過ぎていたので、僕的には違う作品に彼等を出して欲しいなぁwそれまで皆川博子さんには生涯現役を貫いて貰わないといけませんね♡

 よーし!最近の作品から好きになったので敬遠してたけど、過去の作品にも手を出してみよう〜☆(ゝω・)v



 今回は本当に読ませていただき光栄ですo┐ペコリ

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