強く儚い者の生への渇望『KOTOKO』/塚本晋也(監督)/Cocco(主演)/2012年/映画/感想

 「生きる」という事は、酷く不安定なもの。

 放っておいてもお腹は減るし眠くなるし、時折無性に誰か側に居て欲しくなる。それらを解消するたび新たな面倒が自分だけではなく周りからも持ち込まれ、常に僕らの心と身体は落ち着く場所を求めて揺れ動く。

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 昨夜 ”Cocco”主演の”塚本晋也”監督作品『KOTOKO』を観た僕は、酷く落ち着かない気分になった。

 我が子への愛情が強過ぎるがゆえに、精神的に不安定な状態に落ち入って自傷行為も止められないシングルマザーが主人公の映画で、ストレスが極度に高まると現実にはいない凶暴性を持った人が見えてしまい、本人はどんどん現実と幻の区別がつかなくなってゆき、自分だけではなく、支えてくれた人まで傷つけ失いボロボロの彼女が最後に選択する子供への愛情表現もとても重いストーリーなのでかなり後を引くんです...



 最後の最後は救いのあるお話なのでまだ良かったですが、兎に角主人公の”琴子”を演じるCoccoの演技なのか素なのか分らない表情が凄いです。Cocco自身も自傷行為を止められない人ですし相当役に入り込んでいるようで正直洒落にならないほどの迫力を感じました。

 今回塚本監督作品を初めて観たのですが、明らかに大袈裟でおかしい設定や展開が導入されているのに、カメラワークや編集によって何故か現実の重みを感じてしまう味があって興味深く、琴子にだけ見えてしまうバイオレンスな世界の見せ方も含め、塚本監督の人間の生の部分を曝け出させる手腕は凄かったです。見事にCoccoの人生を”琴子”を通して描いてらっしゃいました。


 塚本監督は体当たりな演技も痛くて凄かったし、終盤の加速度を増してゆく琴子の崩壊っぷりは苦しいでも哀しいでも痛いでも足りないほど辛いのに、最後に琴子が見た幻の見事なギミックによる心象風景の描写が綺麗で上手かったなぁw塚本晋也と言う人の多才さには感嘆せざる得ないですね♪


 塚本監督のCoccoへの想いと、Coccoの生きる事の喜びと苦悩が凝縮された、何度でも素晴らしいと言いたくなる作品でした。



ただ、同世代でもあるCoccoが、この先琴子のように壊れてしまったりしないか不安になってしまう映画でもありましたね......エ)・`)ショボーン






 映画.comインタビュー記事  http://eiga.com/movie/56957/interview/

 Cocco公式HP http://www.cocco.co.jp

 塚本晋也公式HP http://tsukamotoshinya.net/

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