見えない想いを見つける場所「asエリス」/くらもちふさこ/集英社/マーガレットコミックス/2012年/漫画/感想

 スマートフォンの普及や、mixiやFacebook、Twitter、LINEなど、ソーシャルサービスが密接になったおかげで敷居が下がったネットでの生活。PCや携帯に詳しくない年長者にも簡単に利用出来るサービスも増えたように思えます。


 かく言う僕もネットで見知らぬ人とやり取りをする生活を始めてたった2年と半年ほど。

 よく見ていたブログの運営者さんがTwitterを始めたタイミングで、ネット社会にデビューし、調子に乗ってブログなんてものも始めました。まるで専門的な知識が無い僕でも、それなりにやってゆけるベースが今のネット世界にはあります。怖いのは始めだけで、直ぐにネットの友人達と過ごす楽しさに夢中になれましたから。


 そんな時代だから、PS3の"PlayStation Home"や、”アメーバーピグ”、スクエニが運営している”ニコッとタウン”等のように、仮想空間での生活を第二の人生として楽しむ事も当たり前になっていて、アメリカでは”IMVU”と言う仮想空間サービスの登録ユーザーが1億人を越えたなんてニュースもある。モバイルゲームやSNSは基本無料で始められるから尚更だ。

 だから、既にネット世界は現実と変わらない”しがらみ”で一杯なわけですよ.....


 友達が欲しいオーラ出しまくりな人がいたり。しつこく絡んで来る人がいたり。顔が見えないネットなのをいいことに、好き勝手に暴言を吐く人だっている無秩序なネット社会の中で、少しでも信用出来る相手を大事にしたい、されたいと『義務的』な行為が増えて来てしまう。

 嫌な話、ギブアンドテイクが人間社会の暗黙の了解なんですよねw

 
 慣れてくればくるほど、ネットでの生活も実生活も変わらずコミュニケーション能力が必要なんだと思い知るので、辛い事も本当に多い。

 でも、そんなリスクをわざわざ背負ってでも得たい物がバーチャルにはある。

 特にリアルでは見せられない表情がぽつりとこぼれ落ちる瞬間こそ醍醐味では無いだろうか?素顔が見えないからこそ気兼ねせず素直な気持を解放出来る瞬間があるんですよね。

 ただ逆にネットでの自分をリアルの知り合いに知られるのはちょっと困る。知られたい気もするけれど、それには勇気が足りないわけで.....



 だから、この本みたいな素敵な垢バレが出来たらどんなに素敵だろうか。

いいわやっぱ"くらもちふさこ"さん♡


 主人公は素顔の自分に自信が無い女子高生で、髪を染め化粧をして憧れの制服だけが勝負服な女の子。

 彼氏らしい相手はいるが、自分と同じ内気でTwitterや仮想空間サービス”ハピランド”に夢中の草食系。だから大人の男女がするような事は一切しないw

 そんな色気も無い彼女に、彼氏以外に気になる男の子が出来てしまう。

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 彼氏と同じようにハピランドを楽しむその男の子には、既に彼女が居て、しかもその相手が自分の憧れの女性だったりするのだけど、臆する事なく草食系彼氏や気になる男の子が楽しそうにしている世界へ主人公は脚を踏み入れて、気になっている男の子だと思われるアバターを見つけ出し、ネットだから出せたなけなしの勇気を振り絞って仮想空間の中で付き合い出すと言う話。

 本当にそのアバターが本人で、実は両想いなんじゃないのかと主人公が感じつつ、現実と仮想が入り交じって恋愛模様が展開して、リアルだけでは絶対に報われない想いが成就するのが最高だった♡ハピランドのディティールが実際にある仮想空間サービスに似ているのも利用者としてはニヤリとしてしまうしね( ̄ー ̄)

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 もう50歳を軽く越えている”くらもちふさこ”さんが、ここまでネット世界を盛込んで描ける事は本当に凄いw なんてアクティブな人なんだろうか...ドラクエ10とかも遊んでいるみたいですしねwww

 
 ここ数年の”くらもちふさこ”さんの作品スタイルが僕は本当に好きです。昔の作品より大雑把に見えて、実は味わい深い線はダイナミックでとても良いし、それでいて読み難いなんて事も無い。すんなりとメリハリが効いた物語に没入出来るから♪

 やはり現実だろうが仮想だろうが、最後にモノを言うのは内面の深みですね。そんじゃそこらの若手漫画家にはこの雰囲気は出せないです。



 この先どうネット世界が移り変わってゆくのか分りませんが、絶対にネットだから伝わる想いがあるなって、改めて思える良い作品でした(ゝω・)b

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