ハードボイルドは人生の吹きだまり「時には懺悔を」/打海文三/角川書店/1994年/小説/感想

 前に書きましたが、基本読書の時間はお昼休みと決めている僕。

 だからと言うわけでも無いけれど、”応化クロニクル”で大好きになった亡き”打海文三”さんの他作品をまるで読んでいなかった。 応化クロニクルの「裸者と裸者」にハマって直ぐに他の作品群も買い漁ったと言うのに、この体たらく....

 本当に申し訳ありませんo┐ペコリ(打海さんへ)


 で、流石にそろそろ手を付けようと、デビュー作を読んで見ようかと思ったのですが、なんとも評判が芳しく無い事に怖じ気つき、2作目の「時には懺悔を」をチョイス。腰抜けと罵って下さい文三ファンの皆さんゞ(*ゝω・;)ノ

本日読み終わった。


 主人公は人生の吹き溜まりの職業”探偵”で、奥さんや子供が居るが家族仲は最悪。新人の探偵志望(バツイチ女性)にも糞味噌に言われる始末....

 そんな仕事以外駄目駄目人間の彼が、元所属していた事務所の頼みで新人の実地研修を行う事になり、新人が事前に許しを得ている個人の探偵事務所へ侵入、盗聴器の設置までを行う過程を見守る役目を仰せつかったのだが、その事務所の持ち主である友人の探偵が殺されているのを見つけてしまう。

 そこで彼は友人の死を調査し始める事になるという展開になるわけですが、正直2時間物のサスペンスドラマにありがちな謎しかありません。初出が1994年である事を考えても、サスペンス物としては並だったと言えるでしょう。

 しかし、物語の中心になってゆく障害を持つ子供の存在が、応化クロニクルで文三さんがこだわり続けたマイノリティのアイデンティティを感じさせ、探偵物である前に、人を人たらしめるものや、人が人を愛する価値をこそ訴えたかった作品なのだと僕は想い読み切りました。


 サスペンス物として読もうと思った方は味気なさを感じたでしょうし、94年当時の日本を知らない若者が読めば、ポケベルがどーのこーのと言われても、ピンと来ないようなところもあるでしょう。 それでも、この本から漂う文三さんの匂いを僕は愛したい。どうしようもなく甘酸っぱい優しい香りを....
 


 本や歌は良いね。作者が居なくなっても、こうして手に、耳にして、身近に作り手を感じる事が出来るから。

 やっぱりデビュー作も読もう♡(๑´•.̫ • `๑)

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