恩田 陸であって、恩田 陸でない一冊。「六月の夜と昼のあわいに」/恩田 陸/朝日文庫/朝日新聞出版/2012年/小説/感想

 小説家って職業の人達は、兎に角言葉遊びが大好き♡

 いくらファンが増え、本が売れ、自分のスタイルが確立されたとしても、新しい文字の可能性を追わずには居られない生き物が物書きなのです。

  そして、今回読ませてもらった”恩田 陸”さんの『六月の夜と昼のあわいに』も、そんな新しい可能性を感じさせる本の一冊でした。
 
文章より、イラストが良かった今作w


 この本は恩田さんだけが創る世界の作品とは違い、”杉本秀太郎”さんの序詞とアーティスト達の一枚絵から始まるイメージから恩田さんが世界を構築した短編集になっており、ジャンルを越えた表現者達の”ジャムセッション”とも言える作品です。

 なので、正直いつもの長編を読む間隔で楽しもうとすると、肩すかしを喰らった気持ちになるやもしれませんw

 あくまでも、恩田さんが杉本さんの言葉遊びに触発されて悪戦苦闘(まえがきでの本人談w)した結果の産物ですので、後手後手に回ってまとまりが悪く中途半端に思える部分もチラホラ....

 おかげで読み手の僕は、物語なのか、ポエムなのか、一つの短編内でさえコロコロ変わるテイストに振り回され、正直読み難いところもありました。


 しかし、そんな急ごしらえな個性のぶつかり合いであるからこそ、「はっ!」っとさせられるような化学反応を見つける事が出来たのも間違いなく、得意の映像的表現と杉本さんの抽象的な詩の世界観がマッチした瞬間はなかなかに美しくあわい♡

 ただ、本書のタイトルに使われている恩田さんが影響を受けた”伊東静雄”さんの詩も、杉本さんの作品も知らない僕には、その淡い魅力に深く没入する事が出来なかった事が残念w 
 
 両者の作品を愛して病まない方で、恩田さんを知らない方にこそ、読んでもらいたい作品かもしれませんね♫



 個人的には、この本での恩田さんの役割は、引き立て役なのかもしれない。

 表紙や短編の頭を飾るイラストが綺麗過ぎましたからww

 この絵を見るためだけでも買いだと思いますよ〜ゞ(*ゝω・)ノ


 
 




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