スターリン主義に翻弄された男「グラーグ57」/トム・ロブ・スミス/新潮社/2009年/小説

 スターリン時代のソ連で幼い子供が行方不明になる連続事件が発生し、とある事情で左遷されてしまった国家保安庁の職員で主人公の”レオ・デミドフ”が、その事件を担当する事になり、殺人事件の存在を認めていない政府と、連続殺人鬼の両方を相手にする羽目になるのが前作『チャイルド44』で、彼が様々な苦難を妻と乗り越えながら真相に近づいてゆくのがとてもスリリングなミステリーでした。

 如実に描かれる当時の厳しい政治支配と疑心暗鬼になっている国民の様子。そしてレオを通し捜査官と言う憎まれる側の立場がいかに危うく難しいものだったかが痛いほど伝わり、時代背景から犯人の目的や正体にいたるまで、ひと時も眼が離せない作品でもありました。


 そんな名作の第2部『グラーグ57』もなかなかに面白い♪

前作の「チャイルド44」はいつ映画になるんだろう....


 政府の良いなりだった自分と向き合うきっかけになった連続殺人事件を解決し、念願の”殺人課”をモスクワに創る事が出来たレオだが、今までの罪滅ぼしのつもりで養女にした少女は心を開いてくれず、3年前に亡くなったスターリンの後を継いだ男”フルシチョフ”は今までの政治体制を批判し始める。

 それは、これまで体制を信じ行動して来た全ての人々を地獄へ叩き込む変革への足音だった。何者かに陥れられ、次々と命を落としてゆく捜査官や密告者達。その魔の手は、かつて無実の者を数え切れないほど逮捕して来たレオにも忍び寄る... 



 チャイルド44でもレオは捜査と言う名の拷問がどれだけ酷いものか、我が身をもって思い知っているのですが、今回も兎に角”痛く”て”辛い”思いをする事になります。前回のようなミステリー要素は序盤だけで、中盤はハラハラドキドキのスパイアクション、終盤は大いなる思想に身を焼き尽くされる女性の生き様と、レオの養女”ゾーヤ”の成長物語が展開され、一冊で様々な要素を味わえるエンターテイメントに仕上がっています。

 前作ほどの衝撃は無いものの、正当な続編としての価値は大変高いと思います。それにチャイルド44と同じく映像的で翻訳が実に読み易く分り易くサクサク進めるのも魅力的♡

 混迷したソ連時代の実状に軽く触れるきっかけにもなるし、洋書はどうも読み難くて〜と、敬遠してる人にもオススメです♪(*´∀`)b

 

 一作目を読了してからかなり間が開いてしまったせいで、三部作のラストを飾る『エージェント6』も発売中だし買って来ませう〜〜〜〜(((( *≧∇)ノノノ


 (´-`).。oOそれにしても映画化いつですかリドリー・スコット.......

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