野球も所詮お金の戦いでしかないのか?『マネーボール』/ベネット・ミラー(監督)/ブラッド・ピット(主演)/2011年/米国/映画

 『マネーゲーム』


 名前の通り、お金を動かして勝敗を決する遊びの事。


 しかし、今回の場合はただの遊びでは無い。野球選手と言う生身の『人間』をやり取りする悪趣味な遊びだ...





 今作の主人公は、野球の古き良き伝統的なチーム作りの被害者とも言える男で、自分の価値を見誤ったスカウト達の口車に乗せられメジャー入りしたが、文字通り鳴かず飛ばずで引退した人でもある。


 そんな彼が引退を決めたチームの元で、スカウトからGMにまでのし上がり、極貧チームを自身が信じる伝統をぶち破る方法でまとめあげ、常勝軍団へと生まれ変わらせる。と言う物語なのですが、どうにもスッキリしないw 劇中大金を動かしチーム作りをするヤンキースを扱き下ろし、本当に評価されるべき選手を『低コスト』で選び始めるのですが、完全に成績、年俸と言う『数字』でしか選んでいない為、正直ヤンキースのチーム作りと何が違うのか僕には分らなかった。


 動くお金の大小問わず、人間として彼等野球選手を見ていないわけですから...




 実際のチーム運営全てが、この映画のように冷徹な決断しているとは思えませんが、この映画のシナリオに関しては共感は出来ませんでした。ほぼ2002年当時のアスレチックスの活躍を踏襲しているわりに、実際活躍した選手を取り上げたりせずに、物語として受けが良い選手に置き換える等の改変されているのも、脚色が過ぎると言うものでしょう。


 どうせドラマチックにするのならば、いっそ全てフィクションとして描いた方がよほど娯楽として楽しめたと思います。下手に数字遊びを美化して描くのは的外れ。あまりにもビジネスライクな表現が生々し過ぎて、主人公”ビリー・ビーン”の野球に掛ける想いが薄ら寒い物に見えてしまいました。




 当時主流では無い統計学を用いて、弱小チームが豊富な資金力を振りかざす大チームに挑み、対等の強さを証明してゆく過程は確かに面白い事かもしれない。けれど、数字の裏に『人』が居る事がもっと伝わって来るチーム作りで無ければ、幾ら勝ってもファンの喜びは半減する事でしょう。


 メジャーリーグにあまり詳しく無いのでなんとも言えませんが、本物のアスレチックスが、この映画とは違う選手愛に溢れたチームであれば良いなと心底思いました.....




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