囚われのココロ達「光のほうへ」/トマス・ヴィンターベア(監督)/デンマーク/2010年/映画/感想

人の感情は連鎖する。楽し気な笑顔からは笑顔が花開き、沈む心からは哀しみが広がってゆく。傷付けられた者は、傷つける側に回り、新たな「傷つける者」を産み出してしまう。無限にループし続ける罪は、死を持ってしても消えはしない....


どんな便利な文明を手に入れて、自由自在に様々な事が操れるようになったとしても、心に染み付いた入れ墨だけは消えず、常に「自分」と言う足枷が付いてまわる。アルコール依存症の母親を持つ兄弟にも、重く絡み付く心の足枷があった。

ろくでなしな母親の代わりに赤ん坊の面倒を見ていた2人は、自分達で洗礼の儀式の真似事までして名前を付けてあげ可愛がっていたのだが、子供達だけでまともな世話が出来るはずもなく不注意で死なせてしまう。大きくなってもその時の罪の意識に苛まれる彼等は、酒に溺れクスリに溺れ、忌むべき母親と同じ道を歩もうとしている己の弱さに苦しんでいた。しかし、購い難い哀しみはどんどん忍び寄って来て、結局2人を包み込んでしまう。

何をどうすれば良かった?

誰が何処でこの連鎖を断ち切れば良かったのか?

そんなやるせない想いがひたすら降り積もる。加害者であり被害者でもある彼等を誰が責められるだろうか....



クスリでボロボロになった弟の幼い子供に託された希望の意味を見届けた時、心から彼等の平穏を願わずにいられなかった。刻まれた哀しみを乗り越え、誰にも連鎖させず生きる事の難しさが痛いほど伝わる作品です...


公式HP http://www.bitters.co.jp/hikari/

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