君には何が遺っただろう?「BIUTIFUL」/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(監督)/2010年/スペイン・メキシコ/映画/感想

 一体誰が何処でボタンを掛け違えたせいでこうなったのか、八方塞がりな人生を歩む男”ウスバル” 

 仕事はヤクザまがいに不法移民労働者への仕事斡旋。嫁は心的病いで別居状態。2人の子供の世話をなんとかこなしているものの、精神的にも金銭的にもギリギリの生活を続けている。

 その上彼は大きな問題を2つ抱えているのだ。

 一つは迷える霊魂が見えてしまう事。

 もう一つは末期癌で長くても二ヶ月の命だと言う事...


 それら全てが彼を押し潰してゆく様があまりに切ない。まるでウスバルがスペインと言う国が抱える問題を一手に引き受けているかのようだった。

 彼を通して伝わる貧困層の切実な危機感を、とても生々しく”アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ”監督が演出しており、生活感溢れる映像と鮮麗さを感じさせない雑多な効果音がスペインの貧しい地域へと僕らを誘います。
 無論それを可能にしているのは主役の”ハビエル・バルデム”の熱演のおかげも大きかった。不法移民への人情味に溢れた態度や、むちゃくちゃな状態の嫁と子供達への愛。そして悔いを遺した霊魂への慈しみと、一緒に過ごした記憶も無い父への思慕などが、彼の深みのある表情から痛いほど豊かに伝わって来て、こちらまで胸を掻きむしられるかのようでした....


 霊魂が見えてもホラー映画ではなく、あくまでも一人の男の苦悩と解放を描く事に徹底されている今作、あえてタイトルの綴りを誤ったものにしている事にも理由があります。始まりと終わりが固く結びついた時、その理由に想いを馳せている自分がいる事に気付く事でしょう。名前の通りとても美しい映画でした。

 人生はなんて不完全で残酷で不自由な物なんでしょう...しかし、だからこそ誰かを愛おしく感じ、この手で抱きしめたいと強く想うのでしょうね♡



公式HP http://biutiful.jp/index.html

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