慈しみを忘れた世界を旅する男「ザ・ウォーカー」/アルバート・ヒューズ&アレン・ヒューズ/2010年/米国/映画/感想

大きな戦争により空に開いた大穴のせいで焼尽されてしまった大地を旅する男がいた。

彼は誰にも触れさせない本を背に30年以上西を目指し旅をしている。

腹が減れば野性の猫を狩って食し、靴が欲しくなれば廃墟から探し出す。

孤独な旅のお供はiPod。好きな曲は”Al Green”の「How Can You Mend A Broken Heart」だ♪



そんな彼がたまたま立ち寄った町で、彼の本を欲しがる男に出会う。何度も執拗に本を狙って追って来る男達を命懸けで蹴散らす彼。

そうまでして護らなければならない本の秘密とは?....




荒廃した世界でサバイバルに生きている主人公役の”デンゼル・ワシントン”が兎に角格好良い。強盗に襲われる序盤のシーンで、彼のシルエットだけを堪能出来る殺陣は流れるように美しく、座頭一のよう(終盤のどんでん返しにも座頭一へのリスペクトを感じた)に哀愁まで感じる。大型のナイフ一つで渡り合うアクションシーンはどれもスピード感があって本当に良かった♪


彼が旅する全編ドンヨリとして埃っぽい世界の独特な空気感も上手かった。こういうCGの使い方好きです♡まるで世界に自分ただ一人が残されたかのように感じるほど寂しい雰囲気で...



さて、問題の本はぶっちゃけ聖書なのですが、大きな戦争が起きた原因でもあるとされ、彼が持つ聖書以外は焼かれてしまったと言うのです。そして聖書の持つ求心力を悪用して自らが新時代の神たらんとするのが”ゲイリー・オールドマン”が演じる男というわけ。心の荒んだ世界で重要なのが聖書であるとするコンセプトは面白いのですが、残念ながら今一歩物語の重厚さを出すには時間と覚悟が足りなかった。


もっと残忍に、もっと殺伐とした世界として描いても良かったのです。神のみぞ味方な孤高のヒーローとして徹底して欲しかった。結局アメリカ映画は男女の愛を絶対に盛り込まなければならないような風潮があるんですよね...


しかしそのおかげで宗教的な題材のわりに不快な印象は無く、程よくエンターテイメントなお話ではありました。TVドラマにしても面白いかもしれない。世界大戦後の荒廃世界ネタが好きならば、一見の価値があります。


『AKIRA』の実写監督を降板したヒューズ兄弟の次回作が非常に楽しみになる一本になりました♪



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