猫と賢治と河森と...「イーハトーブ幻想〜KENjIの春/河森正治/1996年/アニメ/感想」

 僕は宮沢賢治を知らない。

 著作はほぼ未読。せいぜい絵本で読んだ「注文の多い料理店」くらいのも。

ただ、著名な作家であるとしか認識していないのだ。


 だから僕にとっての宮沢賢治は、この「イーハトーブ幻想〜KENjIの春」に出て来る、型破りで、お坊ちゃんで、まるで手応えの無い夢ばかりを語る奇人病人妄想猫である。

 勿論本来の賢治は人間だw(1985年の”杉井ギサブロー”監督作品「銀河鉄道の夜」で、登場人物を猫に置き換えたアニメに追従して今作も猫として描かれている)


 しかし、地に脚が着かず、現実と向き合う事を恐れてさえいるように思える賢治の行動の一方で、その一途に万物を見つめる眼差しには、得も知れぬ真実を見抜いているような鋭さが垣間見える。

 ただ僕自身が賢治作品を読んでいない以上、賢治の伝記的この作品に込められたリスペクトを忠実に感じ取る事は勿論、彼の作品世界と結び付ける事すら出来ない。自分にガッカリだw


 それでもこの作品は一見の価値が充分あり、素晴らしいものです。独自の世界にどんどん傾倒していった賢治の孤立感を深める晩年が、とても物悲しく美しい心象風景で描かれているからです。

 終盤、死を覚悟する賢治の前に現れる、天へ昇る銀河鉄道の姿は、当時の映像技術の先端をゆくものでした。そしてそれは、無類の感動を与えてくれるものでもあったのです...

 
 テレビアニメで今作が、ロボットアニメの重鎮”河森正治”の手によって製作されると言う話は、当時かなり新鮮な話題でした。「マクロスプラス」「天空のエスカフローネ」と、続けてクォリティの高いCGを使ったアニメの製作に携わって来た氏が、まるで違う路線の作品を作る事は、視聴者にとっても、作り手にとっても、期待せずにはいられなかった。

 見事に監督は期待に応え、まったく賢治世界を知らない僕にも、"熱"が伝わって来るほどの作品に仕上げ、今もなお新作ロボットアニメを作り続けている監督ですが、いつかまたこんな素敵な幻想世界をと、思わず望んでしまいますね♪



 (´-`).。oO今度こそ宮沢賢治、読もうかな........

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