作者である小川さんが、あとがきでも書かれていましたが、とにかく出せる要素は全て出した、旨味の凝縮度200%な作品だと言い切って良い本だったと思います。登場人物達の個性も克明に描かれ、群像劇としての完成度はかなり高い。
辺境の植民地惑星を舞台に、
見た目のおっさん具合に反比例した凄腕医師の主人公が
身体に帯電させて生きている一族 ”海の一統(アンチョークス)” の中性的で快活な美少年が
正体不明の美しくも恐ろしい褐色の生き物が
人を傷つける事が許され無い悠久の時を生きて来た機械人達が
人に逆らう術すら知らない無垢な先住動物が
腐り切った体制に抗う、うら若き女性議員が
恐れを背負い、諦めと焦燥がつのる青年暴君が...
様々な意思を持つモノ達が交錯し、すれ違った結果、どうしようも無い事実が全てを引き裂いてゆきます。
それはもう、驚きさえ息を潜めるほどに切なく虚しいほどに....
なんとなくこういう事なんだろうとストーリーの予測は出来ていましたが、読者の淡い未練をバッサリ断ち切るような作者の潔さが心地良く刺激的で、最後まで飽きる事なく新鮮な気持ちで堪能出来ました。
あの陽気な奴も、何処か憎めなかった哀れなあいつも、そんじゃそこらの作家では絶対出来ない決断でバッサリとヤル...小川さん...一生着いて行きます♡
切るべき所でキル事が出来る小川さんが描くこの広大な世界が、この先どんな驚きと真実で溢れているのか考えるだけでもワクワクして来ます♪やっぱりSFは、未知なる可能性に萌えてなんぼですぜぇ~((o(´∀`)o))

※表紙しびれるねw
小川一水WEB http://issui.sakura.ne.jp/hp/index.htm
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