岩里祐穂さん唯一の恋愛小説.....「恋の記録/岩里祐穂/マガジンハウス/1996年/小説/感想/レビュー」

 僕の中で勝手に菅野よう子ファミリーに区分している”岩里祐穂”さん。元々はシンガーソングライターとしてデビューしたそうですが、今はアニメのテーマ曲を中心に作詞活動をされています。

 そんな岩里祐穂さん。実は小説を書いた事がありました。その名も『恋の記録』...

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 シンガーソングライターへの道を諦め、作詞家として活動し始めた女性が、自分の音楽仲間に不毛な恋をし続けた事を綴った恋愛小説です。岩里さんの経歴からして、まさかこれ自伝?とか思ってしまうほど生々しい女性の衝動が描かれ、男の僕は戦々恐々とした想いで主人公の恋の行方を見守っていました....

 とにかく最後まで女性の空回りな恋模様なんです。最初から後腐れ無い関係しか求めていない男をどうしようもなく好きになったり、そんな片思いをし続ける自分を愛してくれる男を都合良く呼んでいたら逃げられたり、自分になびかなかった2人へ当てつける為に付き合った男に自分の本心を見抜かれ即終わり.....無限ループのように前に進まない恋愛模様で、読んでいて非常にしんどかったw

 恋でもなんでも、人間の想いは一方通行なものです。それを分っていたとしても、人は自分の想いに答えて欲しいと願ってしまう。そんな人間の不器用さ、愚かさ、生の人間の感情がとてもリアルな作品でした。ただ、その生々しい女性の感覚を描いた結果が、岩里さん唯一の小説作品になった理由でもあるかもしれません....

 小説として本を書くには、ポエムのように抽象的な表現だけでは物語として破綻してしまう。ある程度世界観が見える説明が必要になるのです。岩里さんは作詞家ですから、いつもは限られた抽象的で短い文字数の中で、何かを伝えなければならない。僕ら第三者は、その少ない情報から自分なりに答えを見つけ楽しむ為、岩里さんの感性をかなり薄めた状態で受け取っています。しかし、それを具体的に理解出来る文面で長々と読まされたとしたら?それはもう食あたりをおこしそうなほどの濃さで僕らに襲いかかります.....

 それがこの『恋の記録』でした。岩里さんの感情は、カルピスみたいに薄めて丁度良いのかもしれませんねwこれが唯一の小説になった理由がよく分りました(;´Д`)

 でも、それでも、まだ岩里さんが小説を書いたら、僕は読む事でしょう。どんなに重たい女性の感情が詰まった本だろうと...._/乙(、ン、)_


岩里祐穂公式HP http://www.yuhoiwasato.com/

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