自分が自分である為に必要な事...「ノエイン/赤根和樹/サテライト/2005年/アニメ」

 函館に住む12才の少女”上乃木ハルカ”は、小学生最後の夏を友人と過ごしていた。ある日の夜、みんなで肝試しをしに墓地へ向ったところ、黒い格好をした者に襲われてしまう。
 自分に隠されたチカラも知らないまま、彼女は大きな渦へと巻き込まれてゆく...



 ノエインは、普通に何処にでもある日常に、有り得ない存在が介入するというSFファンタジーです。作中で、量子がなんちゃらでどうたらと、難しい説明が飛び交いますし、序盤の現れる黒いマントの集団はかなりSFな設定の元に動いていて格好良かった。

 黒マントの彼等には、ハルカがどうしても必要で何度も彼女を連れ去ろうするのだけど、そのたび仲間を失ったり、身体の一部を失う者がいたりと、彼等に漂う悲壮感はとても切なかった....

 
 彼等の居る世界は、ハルカ達の居る時空の15年先の未来に近い世界で、主要人物の中にハルカ達と同じ人間もいる。なので、違う時空だと分っていても、自分の知っている世界に近いハルカ達の世界に特別な感情を彼等は覚えてしまう。勿論そのやり取りを見ている僕達観客もどんどん彼等に感情移入してしまうのです。

 特に、ハルカの親友 ”後藤ユウ” の未来の姿をした ”カラス”と、後藤ユウの親友 ”藤原イサミ”の未来の姿をした "フクロウ"との友情が熱かった....ハルカの時空の後藤ユウと藤原イサミの友情を知っているからこそ、カラスとフクロウの絆がたまらなく愛おしかった。


 他の登場人物達も丹念に性格づけされており、とても魅力的で愛おしく、その命が揺らぐたび、僕の心も揺らいだ....赤根和樹と言う人は、無に有を与える事に長けていますねw


 アニメに関わらず、創作活動を行ううえで大事なのは、いかに存在しないモノに命を吹き込むかです。薄っぺらな表層だけのストーリーには誰も感動しない。もし感動したとしても、明日には忘れる程度の物でしょう。

 でも、しっかりと命を吹き込まれ、物語が一人歩きし始めた作品は違う。記憶に残り心に刻まれる。 ノエインはそういう記憶に残る作品だと感じました。


 最終的に、全時空が危機に直面するという大きな話になるのですが、実際に訴えたい事は至極単純。自分が自分である為に大切な事は何かと言う事。僕達は、自分だけでは自分という存在を意識出来ない。誰かが自分を観測し、名前を呼びからこそ、自分が存在している事を感じられるのです。

 量子がどうので全時空が壊滅する、なんて話も全て、自分達の存在を感じ、お互いを思い合い生きていこうよと、監督が僕達に訴えたかったからこその装飾に過ぎないのでしょう....エヴァに近いテーマも含んでいますね。

 
 で、お話以外の話なんですけど、ノエインは作画がころころ変わりますw演出だなんて言ってたりするようですが、黒マント達の戦闘シーンで作画が変わるのはともかく、通常の進行で作画が変わるのはちょっとねww僕としては一話の独特なタッチが好きだったんですけど、一話を担当した ”中屋了” さんは三話分くらいしか担当してないんですよね...この辺は統一感が欲しかった。
 ただしCGを使ったSF造形は流石の一言!当時のアニメ業界を考えると、かなり質が良いです。世界観を盛り上げるのにかなり貢献していました。


 赤根さんの原作絡みのアニメは、これ以降作られていないので、是非また新しいアニメを作って欲しいです♪



 一話だけならバンダイチャンネルにて無料で試聴出来ます。

 公式HP http://www.noein.jp/index.html
 バンダイチャンネル http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=425

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