ただそこには死があった。「殺人に関する短いフィルム/クシシュトフ・キェシロフスキ/1988年」

 子供達の笑い声と、ネズミや、子供達が悪戯で殺し吊るしたと思われる猫の死骸で物語は始まる。かなりシュールなOP....

 主な登場人物は、自分の才能と釣り合わない世界に嫉妬する青年。自分の気分で乗車拒否もするタクシーの運転手のおっさん。念願叶って弁護士になった将来が明るい男性。一見交わりそうに無い彼等の人生。しかし運命は彼等を引き合わせた...

 物語は正直眠くなるほど静かに進んで行く。しかし、彼等の些細な行動を追っていくうちに、破滅に向かっている事が徐々に観客へ伝わって来る。むなしくさびしい曲が更にその事実を煽っていきます。そして....


 人が罪を犯すまでの過程、そしてその後の顛末までを淡々と描いたこの映画、とても生々しい描写で初めて目にした時は言葉を失いました。そこに居たのは、今と変わらぬ閉塞感に苦しみ、周りを巻き込み自滅するしか無い普通の若者でしかなかった。

 普通の人間が普通の人間を殺す。そして殺した人間をまた殺す。そこにあるのはむなしい悪循環だけ....それでも彼は死ななければいけなかった....


 細かな表現がとても効果的で、一つ一つのシーンがとても重い....有り体に言えば、命の大切さがとても伝わる作品だと思います。派手なアクションや、どんでん返しがあるストーリーでは無いのでつまらないと感じる方も多いかもしれません。でも、自分の行動の先にあるものを、少しでも想像するきっかけにはなる作品になる事は間違いないでしょう...
 
 僕としては是非子供達に見せたい一本です。まあ、PTAが黙っちゃいませんでしょうけど(;¬∀¬)
 
 

 

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