伊藤計劃と言う男の残したモノ「虐殺器官/伊藤計劃/早川書房/2007年」

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 徹底した管理社会になった先進国で、感情や痛覚さえコントロールされた兵士達がいる。彼等は自らの身体がズタズタにされても任務を遂行し続ける事を求められているのだ。そんな彼等に一つの暗殺指令が下される。
 ターゲットは、先進国の管理も届かない後進国を渡り歩き、行く先々で内紛の種を蒔き”虐殺”と言う名の花を咲かせる男。いったいどうやって男は虐殺を産み出すのか?そしてその目的とは.....


 去年の3月、多くのファンに惜しまれつつ、先人の元へと旅発った”伊藤計劃”さんのデビュー作。彼は熱狂的な”小島秀夫”監督の信者だった。そのため作品のディティールはかなり小島監督のメタルギアソリッドと近い部分がある。本人達の会話をラジオで聴いた分には、たまたま似てしまったような話をしていましたが、実際どうだったのでしょうね。少し疑ってしまうほど類似した部分がありましたからw

 ただし、最後まで読めばこれは間違いなく” 伊藤計劃”の作品だと言い切れます!小島秀夫と言う男から受け取ったメッセージを、完全に自分の言葉へと昇華して書き上げられた本書には、彼だからこそ出せる”色”を感じました。
 
 だからこれだけの作品をデビュー作で書ける男が、オリジナルの本をたった二冊しか(他に「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット」と、短編等を収めた「伊藤計劃記録 」が発売されている)出さずにこの世を去った事があまりに惜しい....彼のように才能溢れる男ならば、まだまだこれから書きたい作品があったでしょうに......

 少しでも興味があれば買って良いと思います。メタル好きな男性ならまず間違いなくツボでしょう。ただ、少しグロい表現もありますので、お気をつけて(´Д`A;)
 


 追伸、彼はこの本の最後に、あとがきでは無く一行だけ言葉を残しています。その一行には、肉親へ感謝の言葉が書かれていました。たった一行なのに、その一行はとても、とても素敵で、綺麗でした......合掌

 

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