本当の悪ってなんだろうか....「『悪人』/映画/監督「李 相日」/原作「吉田修一」 」

 何処にでもいる男。何処にでもいる女。何処にでもある苦悩。何処かで狂った感情が、不幸を連鎖する波を呼ぶ.....


 現代社会を生きる者の、些細な悪意により傷つけられ、人を殺してしまって苦悩する男と、その男の中にある純粋な感情に、自分自身を重ね、一緒に逃げようとする女を中心に物語は進みます。
 幸か不幸か、二人は出会い、短く長い時間を共有する事になった。そんな永遠にも思える二人の逃避の旅を見ているうちに、誰もが思う事でしょう。誰がいったい悪いんだ?と....
 
 しかしこの物語の良さは、主役二人の愛のカタチだけでは無い。被害者のお父さん。そして加害者にとって親代わりだった祖母。立場の違う肉親達の苦悩の描かれ方にぐっときた!被害者のお父さんが、娘を山中に置き去りにした大学生に詰め寄った後に、カフェの前で口にしたセリフがこの映画の全てだったと僕は思います。この一言が一番染みた....涙が止まらず辛かった。僕自身にも響く言葉だったからだ。とても重要な言葉なので、ここには書きませんが、僕はこれで納得してしまった。彼等がボタンを掛け違えてしまった理由を.....

 とにかくこれだけ入り込めた映画は久しぶりでした。何処まで演技指導があったかわかりませんが、細かい感情の変化が良く表されていた役者達の演技も素晴らしかったし、重苦しく、やるせない気持ちを久石譲さんの音楽が揺さぶってくれた事も没入感を高めてくれました。しばらくは余韻に浸りたい気持ちでいっぱいです....
 
 上手く良さを説明出来ませんが、まだ観るか迷っている方は是非観て下さい。ラストシーンまでしっかりと。加害者となった男の素の感情がそこにあるはずです.....


 映画『悪人』公式ページ http://www.akunin.jp/index.html
 
 
 
 

 

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