今敏監督さようなら....「妄想代理人/マッドハウス/2004年」

 人気キャラデザイナーの女性が通り魔に襲われた。それを期に、精神的に追い込まれた人々が連続して襲われ始める…くの字に折れた金属バットを振りかざし人を襲い続ける”少年バット”の正体とは?!


 被害者は誰もが逃げ場所を求め、嘘の自分とのギャップに苦しんでいる。そんな人々を”少年バット”は救うかのようにタイミング良く襲う。何故襲うのか話数を重ねても、理由が見えそうで見えず、謎は増すばかり…
 自分で作ったキャラクター”マロミ”と自然に会話する”鷺 月子”、小学生のくせにすっかり腹黒く染まった”猪狩 慶一”、別の人格の”マリア”に翻弄される”蝶野 晴美”等等の登場人物達が少年バットに解放される様は、現実の歪みで表現され、実際の出来事なのか、妄想なのか?観る者全てに謎を与え、それと同時に答えを与える。受け手の感覚を揺り動かす素晴らしい演出でした。

 今敏監督が見せてくれた虚構の宴の素晴らしさ、その才能に食らい付いて形にしたマッドハウス。才能が才能を呼び、たった1人の人間の頭脳から産まれたストーリーをカタチにする事が出来たのだと思います。
 しかし、その率い手である今敏監督が倒れてしまった。まだまだこれからがある方でもあったし、グイグイ若手を引っぱって欲しかった。残された者達は監督の頭脳無しにどんな作品として今監督の遺作を仕上げてくるだろう?楽しみではあります♪ 
 そしてそんな残された者への、監督最後の言葉が残されていました。自分を支えてくれた人々への感謝の言葉で埋め尽くされており、監督の素顔に触れるうちに自然と涙がこぼれ落ちてしまった………

 
 無類の才能を持った方がまた1人星になった。これからも順当に行けば僕より上の方々は先に死ぬのがあたり前なのでしょうが、やはり受け入れ難いものですね。死神が連れて行くのにふさわしい人は他にいると思ったりもします。 でも、これは事実。もう今監督の新作にはお目にかかれない。そうもう出会えないのです…
 まだ今敏監督の作品を知らない方も、是非これを機会に観てみて下さい。そして惜しまれる理由に気づいて下されば幸いです……


 

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