心の隙間に入り込む寄り添い方が狡い「500年の営み」山中ヒコ/祥伝社/BL/感想

ここ数年漫画欲が低迷中で、この本も衝動買いしてから数年が経った。

ネットで意外とSFしてる作品だと聞き、割と表紙も良いなと何気なくAmazonの欲しい物リストに放り込んでおいたのを何かのタイミングに買っていたようだ。





すっかり何時買ったかすら思い出せない本を、寝るのを名残惜しむように布団に潜り込んでから読み始めてみると、思っていたよりBLで始まり『話が違う』と序盤こそ苦笑いさせられたが、メカの作画の心許なさに反比例して案外SFらしいギミックを利用したラブロマンス物であることが分かって来ると、たとえそれが男同士の愛の物語でも結末が気になりページを捲る手は止まらなかった。

ロミオとジュリエットのように、親同士が長年啀み合っている関係にある男の子2人が、そんな事情に幼い頃から振り回されつつも大学生になってから互いが相思相愛であることを知り、何もかもこれからと云うところで片方の青年が不慮の事故で亡くなってしまう。そして主人公であるもう1人の青年は絶望のあまり身投げしてしまうのだが、次に目覚めると恋しい青年そっくりのロボットが貴方は250年間眠っていたのだと告げて来る....

IMG_4873.jpeg
主人に認められてうっすら涙を浮かべるロボット

IMG_4874.jpeg
二度目の目覚めで更に数百年過ぎてから、何故人型のロボットが作られなくなったかの設定が割と良い



導入としては淡白でありがちな物なのだけど、その後の展開が所謂”天丼”になるのが実に良い。何度も喪失感を味合わされているうちに、本来なら熨斗をつけて返したいレベルのSF描写も深いものに感じるようになって行くから悩ましい。もう1つ確かなことは、メンタルが弱っている時のBLはやばいということ。シチュエーションに対する寄り添い方が凄まじく巧妙で、たとえノンケでも”この優しさに包まれたい”と思わされてしまう。「500年の営み」同様積んでいた『死にたがりと雲雀』への興味も否が応でも高まった。

IMG_4872.jpeg
こんな台詞を口にする男は日本にまず居ないな....




願わくば、今回のがただの気の迷いで無いことを祈る。





山中ヒコTwitter https://twitter.com/hicoyama
posted by lain at 07:05北海道 ☔漫画