”行ったフリ”をしなければ、もしかすると「きまぐれオレンジ☆ロード」に出逢っていなかったかもしれない

小・中学生の頃、週に1、2度剣道を習いに行っていた。実際には習いに行っていたと云うよりも、行かされていたが正しい表現で、面白がっていたのは数年だけ。中学に上がった段階でかなり興味を失っていた。とにかく防具が汗臭いし窮屈だし叩かれるし未だに良さが分からない。何度やめたいと言っても「もう少しやってみたら?」の一点張りだった母にもウンザリで、いよいよ行ったふりをし始める始末。剣道教室をやっていた体育館に隣接していた公園を抜けた先の小さな商店街で時間を潰すのが日課になっていった。

商店街で1番長居したのは、当時地元では最大手だったスーパーの2階に間借りしていたおもちゃ屋さんで、何かを買うといつも「大事に使ってね」と微笑む店主の顔が今でも浮かんでくる。2店舗あったそのおもちゃ屋さんも、時代の流れと共に役割を終えてしまった。あのおじさんは、まだ健在なのだろうか?

そして、そのおもちゃ屋さんと同じくらいお世話になったのが、スーパーの斜め向かいにある建物にテナントで入っていた名前も思い出せない書店さんである。その建物はどんな店が入っても直ぐ入れ替わってばかりで、書店も毎度客は数人と云う閑散ぷりだったが、照明すら薄暗い店内の雰囲気は嫌いではなかった。あの時代は漫画本がビニールに包まれていないことが多く、立ち読みもし放題。長く居座っていると店員が近くに寄ってきて、露骨に本の整理や掃除をしだしていたのも今では良い思い出だ。「きまぐれオレンジ☆ロード」と出逢った場所としても忘れられない書店であることは間違いない。

※Kindle Unlimitedで無料

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※でもやっぱこっちの表紙だな俺のきまぐれオレンジ☆ロードは




ストーリーを簡潔に説明すると、超能力を持つ家系に生まれたこと以外凡庸な主人公が、悪ぶっている以外真逆なタイプの女の子二人に惹かれ、読者を三角関係と云う蟻地獄に引き摺り込み、延々とヤキモキさせ続けると言う極悪な作品である。絶妙な匙加減のお色気も魅力的だったが、陰キャには一生縁がない王道青春ストーリーがたまらなく胸に刺さったものである。アニメ化もなされ、OVAや劇場版と10年近く展開していったため、幅広い層にファンは居たのだろうけれど、今回の訃報で自分より遥かに若い方が反応しているのが印象的だった。

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※一見きまぐれに見えるが、友情にも恋にも誠実でありたい”まどか”さんの気丈さは本当に格好良かった。

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※子供っぽく恭介にアプローチし続ける”ひかる”ちゃん。序盤は作者からも雑な扱いを受けているが、それでも恋を諦めない彼女は尻上がりに魅力的な女性へ変貌していく。





正直言って故人の作品はきまぐれオレンジ☆ロード以外だと短編を少し読んだことがあるだけなのだが、以外が必要ないくらい楽しませてくれた気がしてならない。”まつもと泉”さんご本人が、それに対しどう感じていたのかは分からないが、大事にしたい作品であったことは揺るがないはずだ。


恋に恋せざるえない罪作りな作品を遺して下さって、本当にありがとうございました.....

僕は結局そんな恋には終ぞ縁がありませんでしたが、あなたの素敵な恋の呪縛は、この先も誰かを悩ませることでしょう.....

お疲れ様でした.....








ちなみに、一番好きな女性キャラは恭介の妹であります。

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まなみちゃん大好き.....


posted by lain at 01:13北海道 ☔漫画

夏も終わればアニメも終わる

夏が終わった。あれほど終わりそうに無かったくせに。あっさりと。

今度は雪に怯えなければならない季節がやってくる。

いつまでもコロナにばかり構っていられない。




季節と一緒にアニメも去った。長らく続いた「食戟のソーマ」と「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」がめでたく完結である。最後の戦いの相手が少々ありえない能力を擁していた点を除き、最後までしっかりらしさを発揮した食戟のソーマや、少々心理描写が不安定でも特異で不器用な純愛を惜し気もなく披露してくれた俺ガイルのこの先が、もう見れないのかと思うと、ちょっぴりセンチな気分になってしまった。終わりが無ければ味わえない感情には、辛さ以上の付加価値があるからタチが悪い。

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結局最後にどちらが彼を手にいれるのかは闇の中。でもそれがラブコメだ



今期一番楽しめたオリジナル作品と言えば勿論デカダンスではあるが、もうそれに関しては書いたので割愛するとして、思いの外別れが辛かった作品の話をしたい。今や日本人にとって欠かせないジャンルとなった日常系を夏アニメを代表して支えていた「放課後ていぼう日誌」である。女の子達ばかりの釣部ていぼう部へ強引に入部させられた主人公が、どっぷり釣りの魅力にハマっていくと云う内容だったわけだが、これがなかなかどうして、ゆるキャン並みにアウトドアへの興味を掻き立てる感じに、釣り描写が丁寧に描かれていて惹きつけられた。遊漁券が必要になる場合があるだとか、若い魚はリリースしようとか、釣り糸等のゴミは持ち帰ろうといったマナーに関してもそうだが、釣ったら食べるを実践し、ちゃんと美味しそうに演出出来ていたのが良かった。

百合要素に関しても、無駄に煽る感じではなく、より自然にこういうことある〜と言いたくなる感じに主人公と幼なじみ2人のシーンを仕上げている点に好感をもった。酒好きの駄目教師や、駄目そうにみえて頼りになる先輩や釣具屋のオヤジ等のキャラ配置も隙が無く、個人的には普段は口数が少なく背が高い地味眼鏡の大野真は刺さり過ぎる設定で非常に困った。釣りも料理も上手で面倒見の良さも抜群。ついでに胸も大きいと云うのだから駄目男殺しと言う他ない存在である。

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今季は結局大してアニメを観なかったが、相変わらず続きが観たくなる終わり方のSAO、続きがあるかどうか怪しいノー・ガンズ・ライフ、全然終わってないリゼロ、2期を待ち遠しくさせてくれたうまよんなんかも楽しんだから良しとしたい。中断の憂き目に遭った春アニメがスライドして来たこともあって、1クール作品なのに2クール楽しませてくれたような錯覚も覚える不思議な季節だった。見続けるか迷っていた天晴爛漫も終わってみれば割と名残惜しい。王道のロードムービー展開と女性キャラの肉付きの良さや、BL好きを喜ばせそうなバディ要素も上手く噛み合っていた。主役の天晴に振り回されっぱなしの小雨は全部美味しい所を持っていった気がする。あれはズルい。

コロナでばたばたした春夏を超え、秋アニメは一体どんなものを見せてくれるのだろう?

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posted by lain at 13:35北海道 ☔アニメ

富田耕生さんの死に我思ふ

昨日富田耕生さんが亡くなっていたと聞いて、直ぐに何の役をやっていた方だったか思い出せなかった自分は、やっぱりオタク失格なんだろう。

子供の頃当たり前のように見ていた平成天才バカボンのバカボンのパパや、銀河声優伝説と揶揄されるほどの役者さん達が参加していた旧アニメ版銀河英雄伝説の中でも、ヤン同様に敬愛してやまない人物だったビュコック爺さんまで演じていたと云うのに、何故か名前と声が結びついていなかった。メディア露出の多い主役をよく演っている方や、可愛らしい声の役者さんの名前ばかりを覚えている体たらくの自分には失望しかない。

ただ1つだけ言い訳をさせてもらうと、本来声優と言うのはこういうものではなかっただろうか?本来存在しない者を動かすアニメや、日本語を喋らない者に日本語を喋らせる実写吹き替えにおいて最後に息吹を吹き込むのが声優の仕事であり、そこには中の人など存在しないのだと視聴者に錯覚させられるかどうかが声優の本懐だったと思うのだ。そういう意味において富田耕生さんは良いお仕事をされてきたなと心底思う。本当に今までありがとうございました.....




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銀英伝の旧アニメがアマプラで見れたので、ついついビュコック爺さんの最後の勇姿を見てしまったが、ボロボロになったリオ・グランデだけでも泣きそうになった.....





声優の役割はここ30年で様変わりしている。顔を出さず自分を殺してキャラクターを生かす仕事から、キャラクターとの相互作用で自分も表に出なければいけない仕事になった。観客が本当の意味で作品に没入するには、少し難しい時代だと言えるかもしれない。声優が素顔を殆ど公表していなかった時代の方が、逆に「知りたい」と云う気持ちが膨れ上がって妄想が捗りオタクにとって幸せなのではないかとさえ思う。今では声優も普通にテレビのバラエティー番組に出演するほどだ。どの時代が良かったで片付けたくはないが、声の演技だけに絞って勝負をしたい役者の居場所だけは失くさないでおいて欲しいものである。

声優学校あがりの型に収まるだけの声優が使い捨てにされるのも見たくないしね.....

posted by lain at 19:51北海道 ☔アニメ