声は知っているが、名前は知らないという現象が起きやすい職業の話

 一昨日、Twitterが一瞬どよめいた。トレンドに「真綾 知らない」とのキーワードが上がったからだ。

こんな辺鄙なブログへやってくる人ならば、おそらく知っているとは思うものの、一応「真綾って誰?」という人のために坂本真綾とはなんぞやと説明しておくと、年齢が一桁台の頃から役者を始め”天空のエスカフローネ”というアニメで主役と主題歌を担当したことでブレイクし、人間関係(菅野よう子、岩里祐穂、鈴木祥子、etc)にも恵まれ頭角を表すと役者でありながら作詞作曲すら手掛けるようになり、まさかのROCK IN JAPAN FESに出演するほどになった女性声優である。

それじゃあ歌手なのでは?と、言われるかもしれないが、彼女にとって歌とは、あくまでも演技の先にある表現方法の一つでしかないと思っている。当然昔は下手というか、素人の新鮮なナチュラルさと若さで乗り切っていたところもあって、当時個人的にはそれほど彼女の演技が上手いとは思っていなかった。初めて上手くなったなぁと感じたのは桜蘭高校ホスト部のヒロイン役で、声が高い所謂可愛い役より声が低めで男の子っぽい役の方が圧倒的に彼女にフィットしていると役者坂本真綾を再評価したものだった。



結局、坂本真綾を知らないという騒ぎが起こった真相は誰にも分からなかった。Twitterにいるアニオタはほぼ100%彼女を知っていたのである。一連の騒動の発端を考察した漫画までRTされるほどの事態になったことを考えても、知らない人以上に知っている人が多そうな話だった。もしも名前を知らない人であっても声は知っているに違いないし。

声優というのは、その性格上名前を知って貰えない可能性のある職業である。EDまでしっかり観る人、好きになった作品のスタッフから出演者まで全て網羅したくなる人でもない限り、声だけ知っているという段階で終わってしまうのだ。つい先日亡くなられた藤本譲さんなども、脇役でありながら強烈な個性のキャラクターを演じた経験があったからこそ、一般人である我々が訃報を知ることが出来たというのもあるだろう。実のところ、ぼくは藤本さんの名前をちゃんと覚えていなかった。彼の演じた味皇様でピンときた一般人の一人でしかない。それでも出演作品を調べると次から次へと知っているキャラクターの名前が現れ、その存在がどれだけの作品を支えて来たかを思うと、なんだか泣けてしまった。




一生涯を無名な脇役に捧げる人も大勢いる中、大勢に名前を知って貰える声優は幸福だとしみじみ思う一幕だった。




posted by lain at 07:14北海道 ☔アニメ