夏アニメが終わって中年が思うこと

もう毎回のことなので、ようやくという言葉すら使いたくもないが、今期(?)もようやくアニメを見終わった。

不作といえば不作だったため、非常に円滑に見終わったように思う。



ざっくりと全体を見回すと、兎に角ギャグとメンヘラが元気なシーズンだった。ダイビング部なのに実態は酒を飲んで痴態を晒すだけという「ぐらんぶる」は安定の馬鹿さ加減と時折訪れるご褒美タイムのバランスの悪さが秀逸だったし、花澤香菜演じるJKと周辺の人々の病みっぷりが半端じゃなかった「ハッピーシュガーライフ」の愛の結末は実に詩的でかなり良かった。「はねバド」に登場するバドミントン馬鹿は軒並み怖く、原作漫画同様(表紙が物凄く綺麗)清楚なOPで始まったかと思えば、下ネタと酷い顔芸のバリエーションを楽しむしかない「あそびあそばせ」にしても、胃にもたれるほどの破壊力を有していた。

知り合いの子供がOPを繰り返し観ていたという「Back Street Girls-ゴクドルズ-」も忘れ難い。全然動かないアニメなのに30分枠を構成と原作と声優の力で乗り切れてしまったのは凄い。





後はそう、まだまだ続く感じの作品が多かった印象が強い。「はたらく細胞」に関しては単純にまだまだ観たかっただけだが、地味に面白かった「アンゴルモア 元寇合戦記」の本番はこれからだし、「殺戮の天使」や「ハイスコアガール」は肝心なところから有料配信サイトでしか見れないという有り様。どちらも加入しているサービスのため、個人的には問題ないが、そういったサービス(Amazonプライムビデオ、Netflix)を利用していない人にとっては苦痛でしかないだろう。ただ、円盤があまり売れない時代だから、安価で加入出来る配信サイトで続きを流した方が収益的には安定するのはあるかもしれない。なら最初から有料配信サイトでやれば良かったのではないか?という声も上がるに違いないが.....













不作であるからには、オリジナル作品もやや物足りなかった。現実の舞台との融合を目指した「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」は実に惜しいところまで行くも模倣以上の存在にはなれず、昭和初期と吸血鬼を結びつけようとした「天狼 Sirius the Jaeger」も世界観や焦点の合わせ方が定まり切らなかったように感じた。

そんな中でも、「プラネット・ウィズ」は頑張っていたかもしれない。まるで原作漫画があるかのような安定感(漫画版を描く水上悟志氏の書き下ろしネームを元に作られていたからこう感じたようだ)で、大雑把なノリに骨太なSFを仕込んで楽しませてくれた。可愛くて憎めない宇宙人(犬とか猫とかアニマルな姿がたまらない)達が、能力に目覚めつつある地球人からそれを取り上げようとする話で、最後には力に飲まれた存在を共に助けようとなっていく愛に溢れた作品だった。隠れた名作として語られる日がいつか来るかもしれない(言い過ぎ)







観たい作品が少ないと、あまり気が散らなくて割と自分にとっても作品にとっても良いのではなかろうか?どこぞのアニメ監督も言っていたが、今の放送数を半分にして、一つ一つ丁寧に作った方が良質なアニメをもっと観れるに違いない。

既に「見切れないよ!」という、いつもの悲鳴が上がっている秋アニメ。

出来る限り駄作ばかりの方が楽だなぁと言うのが、疲れ目の中年の素直な気持ちかもしれない。
posted by lain at 11:34北海道 ☔アニメ

みんなで幸せになれたはずが、なれなかった人がいる映画「カメラを止めるな!」上田慎一郎(監督)/劇団PEACE「GHOST IN THE BOX!」(原案)/感想

久々に、普通の人々と、捻くれた人間が、一緒になって楽しめる映画に出会えた気がした。




普段から、世間一般でウケている映画を観に行ったりはしない。だから、観たい映画が異様にヒットしていると、映画館に行くことが非常に躊躇われる。「君の名は。」の時も、新海誠と安藤雅司さんが絡む映画なんて絶対観たかったのに、周囲が”君の名は。”の話題をしなくなるくらいまで劇場へは行かなかった。

今回の「カメラを止めるな!」に関しては、6月公開で今は10月ということになっているものの、我らが旭川市では、9月の末にようやく上映を開始したばかりということで、実際にはかなりの喰いつき具合で劇場へ脚を運んだと言える。事前に目にしたのはネタバレしないよう「面白かった!」としか言わないような人達の感想と予告映像のみだったから、まさかこんなにファミリー映画だとは思いもしなかった。見た人みんなが幸せになれる作品だったのだ。

派手な役者はいないし、知名度の高いアイドルも出ていない。曲者か無名者しかいない中、これほど成功した映画は近年稀だろう。今更ネタバレをしないように書くのも馬鹿馬鹿しいが、クソ映画のBDを買ってメイキング映像を見たら本編の凄さが分かってしまって最高だった!とか、マジックを種明かし込みで見せてくれるような感覚の面白さが魅力の映画だと言える。伏線回収が三度の飯より好きな人には絶対外せない作品だ。二度目を見たら、また違う楽しみ方が出来てしまうのもたまらないだろう。ぶっちゃけネタバレしててもちゃんと楽しめるような気もするけれど、どうなんでしょう?







本作の元ネタになった舞台を主宰していた人に、原案ではなく原作と表記して欲しいなど、爆発的に人気が出た作品にありがちなケチもついたが、この映画はこの映画で本当に面白かったし、監督である上田慎一郎はことあるごとに元ネタは「GHOST IN THE BOX!」という舞台だと言ってきたわけで、決して舞台そのものの価値を下げるような映画ではないのに、こういうケチのつけ方をすると、自分の価値だけでなく素晴らしい映画の元となった素晴らしい舞台の価値すら下げてしまうのではないかと思ってしまった。

まあ、舞台という箱ではなく、映画で似た手法の作品を作った途端大成功というのでは、舞台で頑張ってきた人は少なからず面白くないのはあるだろう。なら尚更週刊誌に煽られる前にお互いで解決して欲しかったものである。作り手あっての受け手ではなく、受け手あっての作り手でもあるのだから。


良い作品は気持ち良く味わわせてくれよ........











posted by lain at 09:44北海道 ☔映画

気づけば「トップをねらえ!」も30歳です

今ではすっかり人様の作品を分析したり、面白可笑しくこじ付けることが仕事になってしまった岡田斗司夫氏がガイナックスに在籍していた際、実質最後に携わったのが「トップをねらえ!」で、野心的な「王立宇宙軍オネアミスの翼」から一転、特撮パロディから始まったガイナックスらしいスポ根コメディで幕を開ける。

しかし、徐々に庵野秀明色が強まり岡田斗司夫の望んだ美少女物から遠ざかり、ハードなSF設定と根性でなんとかなってしまうアバウトさを引き連れ、最後には詩的にさえ感じるモノクロだ。正直言って、岡田斗司夫の思い通りの作品にならなくて本当に良かったと思う。そうじゃなきゃ、今頃ここで書いてさえいないだろう。


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タイトルの段階で「エースをねらえ!」のパロディだと中年には分かるだろう

なんだかんだ言って胸の揺れにまず目が行く

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こんなコス思いつく人は変態でしかない(褒め言葉)

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この年代のスクリーン表示はご馳走でしかない

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本編のおまけの科学講座の存在も、なんちゃってな世界に真実味を与えていた




そうは言っても、岡田斗司夫の性欲のお陰で、美樹本晴彦氏の美少女をセクシーなコスチュームで拝めたわけで、宇宙怪獣とか宇宙に纏わる科学理論だけで作ったら、このバランスには至らなかっただろうとも思う。何がどう功を奏するか、分からないものである。特訓と称してロボットにタイヤを引かせたり、主人公の憧れの存在である”お姉様”に鉄下駄を履かせて階段を駆け上らせたり、そういうのすら終盤の盛り上がりの糧になっていた。

人類は未だ宇宙を自由自在に飛び回ることは出来ていない。同じようにアニメも自由自在に作れてはいない。安定度は増したが、手描きからCGへ以降した際失った熱量を取り戻しきれていないように感じる。懐古趣味と言われればそれまでだが、騙されたと思ってトップをねらえ!を観てみて欲しい。アニメだけでなく、クリエイティブな仕事に大事な何かが、この作品には内包されているはずだ。




今では空中分解してしまったガイナックス。あの頃の魂を引き継いだスタジオの作品は軒並み採算度外視の名作ばかりだ。つい先日王立宇宙軍の続編「蒼きウル」と共に「トップをねらえ3」を発表したスタジオ”ガイナ”も、それらのスタジオの勢いに続いて欲しいものである。2以上にトップをねらう3であって欲しい。








posted by lain at 10:54北海道 ☔アニメ