流儀があるだけで”殺し屋”が夢の職業に見える「FARGO/ファーゴ シーズン1」FOX/Netflix/感想

FOX
Twitterのフォロワーの後押しもあって、また一つ海外ドラマを観だした。




前々から評判は知っていたものの、どうも七三分け状態の男が微妙なコートを着ている宣伝ビジュアルが引っかかりスルーしていたファーゴ。これが観だしたら続きが観たくなってたまらない代物だったから強制的にストップをかけた。

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うだつが上がらないだけで無害そうな男(右の帽子)が、見た目だけは無害そうな男(左のヒゲ)に焚きつけられ人生を狂わされる...というところから始まるのだけど、その焚きつける側の男が兎に角偏屈だけど間違っているようないないような口ぶりで論点をすり替えるのが実に上手い殺し屋で、普段は自分が悪いのだと言い聞かせて我慢しているような人間の野性を呼び覚まし、自制心を奪う様は悪魔そのもの。しかもその悪魔と来たら、最高に優しげな顔も出来るものだからタチが悪い...





アメリカのドラマは犯罪者に堕ちた者を主役にした作品が多く、幼い頃のトラウマにより人を殺さずにいられない警官が主役の「デクスター」や、余命わずかと告げられ少しでも家族に財産を残そうとドラッグ製造に手を染めた男の話「ブレイキング・バッド」など、あの国らしいバイオレンスな内容ばかりだ。しかし、そこで描かれるものは実に泥臭く普遍的なもので、人種や国が違ってもハマらずにいられない。

特にこういった趣向の作品は、日々の生活に押し潰されそうな男の心にはグサリと刺さる。目の前に居る、みっともない姿の犯罪者が、まるで他人に思えないのだ。「シャーロック」のワトソン役で一気に知名度が上がった気がするマーティン・フリーマン演じる腰抜け保険勧誘員の男も、散々身内や昔の苛めっ子に馬鹿にされた挙句の暴挙だったから、”お前が悪い”の一言で片付け切れなかった。そう言ってしまったら、安月給でも地道に頑張ってる自分を否定してしまうのと同じだからだ。

ぶっちゃけ出来るなら好き勝手にルールを押し付け、我が道をゆく殺し屋の男のようになりたいとさえ思った。このドラマを見た大勢が、同じように保険の勧誘マンを通して殺し屋の生き方に憧れを覚えていそうな気がする。



ただの狂人なのか?それともダークヒーロー足りえるのか?ほんの些細な出来心が、取り返しのつかない事態へと進展していく恐ろしいドラマだと思った。





殺し屋は、子供の夢にランクインしているのだろうか?......






思わず連呼するほど悩ましい”ちんぽ”「夫のちんぽが入らない 1巻」こだま(原作)/ゴトウユキコ(漫画)/感想

僕は昔から“エッチ”な漫画が好きだった。


たまたま学校帰りに道端で見つけた漫画雑誌で、婦警さんが強盗犯にあられもない格好をさせられていた(のちに“八神ひろき”さんの「2人におまかせ!」だったことに気づく)のを読んでしまったのを皮切りに、週刊誌のエッチな漫画や、子供向け漫画のエッチなシーンを当然のように通り、中学生になった頃にはエロ本というエロ本を読むようになっていた。


そうこうしているうちに高校になると、男がただ性欲を満たす作品ではなくフェティシズムを求め出していた。姉の影響でハマった“森園みるく”さんのインモラルな世界観や、“柏木ハルコ”さんの女性ならではな性表現の仕方に夢中になったものだった。わざわざ言うのも憚られるが、あれから性欲は減退した。エッチな漫画を毎日のように求めていたのが嘘みたいに、どうしようもなくムラムラするようなことも減り、そんじゃそこらのネタでは“ちんぽ”は立ち上がらない。


でも、ゴトウユキコさんの漫画ほどのネタになると、僕のちんぽも黙っていない。羞恥と本能がローションまみれになりながらも、それを冷静に見つめているような独特のエロ描写がたまらなくツボに入るのだ。今回読んだ「夫のちんぽが入らない」でも、原作付きであるのを感じさせないくらいゴトウユキコさんの持ち味が出ていた。もしかしなくとも原作者の”こだま“さんと相性ぴったりなのではなかろうか?あとがきで繰り広げられた“ちんぽ”合戦も微笑ましい限りだった。









田舎出身の女性が、ずけずけと自分の領分に入り込む男を好きになり、男女の関係に及ぶようになるも、何かが邪魔するかのように”ちんぽ”が入らないというタイトル通りの話なのだが、笑いとエロと切実な悩みのバランスが絶妙で、エロをちゃんと描いた純愛物といった雰囲気が実に良い。純愛物というのは案外濡れ場をスルーしたり、綺麗なセックスシーンにしたがるものだが、これくらい泥臭い方が子供の教育に良いような気すらした。


そもそも子供向けは潔癖すぎて教育によくない。根性があればなんとかなったり、頑張れば夢が叶ったり、具体的な根拠が一切ないサクセスストーリーが多過ぎる。もっと必要なこと、そして避けられない事実こそ子供には提示すべきだ。そしてそのために何が必要なのかまでやらないと無責任でしかない。それでなくとも自分の至らない面を他人に転嫁する人が増えている昨今、死刑にして欲しかったとか、誰でも良かったとか、はた迷惑でしかない理由で周囲を害するニュースで溢れている。もうちょっと本当のことを子供に届けた方が、将来何者にもなれない凡人になっても、それを受け入れられる強さが身につくのではなかろうか?





ちんぽの話から一気に説教臭くなったが、言いたいのは”ゴトウユキコ”さんと”こだま”さんのちんぽは最高だというだけである。


ちんぽが有る人も無い人も是非読んでみて欲しいものだ📖



夫のちんぽが入らない(1) (ヤンマガKCスペシャル)
夫のちんぽが入らない(1) (ヤンマガKCスペシャル)



ゴトウユキコTwitter https://twitter.com/gotouyukiko

こだまTwitter https://twitter.com/eshi_ko

posted by lain at 10:03北海道 ☔漫画

辞めた女と、辞めなかった女の話

久々の連休を漫然と貪っていた僕は、二人の女性の選択に気をとられていた。




一人は長年歌手として活動し、まだこれからという時期に引退を発表した安室奈美恵。これを機に一切の芸能活動から足を洗うようだが、まあ辞めたいなら辞めれば良いのではないかと思うし、何故彼女の引退をそこまで惜しむのかが分からなかった。


僕は他人にやらされるだけの人や、お金や周囲との関係の為に辞められない人など、社畜と変わらないから芸能の世界からさっさと消えて欲しいと思っている。そもそもちゃんと発信したい物を持っている人なら、自分がどう老いていこうとも軽々しく引退など口にしない。今回の件で、安室奈美恵はやはり職業歌手に過ぎなかったのだと酷く納得してしまった。


スーパーモンキーズ時代の安室奈美恵は好きだった。理由はよく分からないが、同世代の女子だから好きだったのかもしれない。ソロになって一気に顔黒度が増し、初々しさが消えて一気に興味を失った。周囲が“安室ちゃんかわいい”と口にする度なにかが冷めていった。彼女の歌に感動など一切覚えたことはない。周囲も見た目ばかり褒めていた。そんな歌手をアーティストとは僕は呼べない。今回の引退にしたって、安室奈美恵ばかり褒めず、これまで彼女を支えてきた人達こそ褒めるべきだ。沢山のスタッフは勿論のこと、彼女のモチベーションを上げてきたファンあっての安室奈美恵なのだから。


唯一安室奈美恵を褒めてやりたいのは、母親があんな死に方をしなければならなかった家庭環境にありながら、根性で芸能の世界を生きてきたということだろう。歌も踊りも見た目も維持するのは並大抵のことではなかったはずだ。であればこそ引退などと口のすべきではなかったのではないかと思わずにいられない。






二人目は樹木希林さんだ。家族に見守られ自宅で亡くなったというニュースに妙な安堵を感じたものである。

生涯現役という言葉が似合う役者の一人で、安室奈美恵のような華やかな見た目でもなく、名脇役といった彼女だったが、晩年の心身から滲み出る重みのある演技が本当に素晴らしく、ある種キムタクと同じで、演技の幅は狭かったかもしれないが、演技の質は非常に高く自然な味わいがたまらない人だった。つい先だっても「人生フルーツ」という老夫婦の独特な生活を撮ったドキュメンタリーのナレーションで演技だけでは表現出来ないものを感じたばかり。「万引き家族」を劇場へ観に行かなかった自分が憎い.....



全身を癌に侵されつつも、最後まで表現者として生きた女性と、五体満足でありながら表現者の道から去る女性、どちらが正しいという話ではないものの、どちらを惜しみたくなるかは自明だ。


せめて安室奈美恵は「あの人は今?」的な番組へ出たりしなければ良いなと思う。


一時代を作った女として、それくらいの矜持はあって欲しい....

posted by lain at 06:57北海道 ☔雑記