差別を行う者への差別を行う者への差別すら許されない差別をどうやって無くそうと云うのか?「ズートピア」ジョン・ラセター(製作総指揮)/感想

仕事のごたごたがようやく片付き、久しぶりにゆっくりと休めた日曜日。

皆がW杯だニチアサだと騒いでいる最中、僕は先週地上波放送されたズートピアの録画を見ていた。




舞台は肉食動物と草食動物が共に暮らす夢の街ズートピア。その街で警官として働くことを夢見てきたウサギのジュディが、どんな障害も物ともせず努力と根性でその夢を叶えるところから始まる。夢の街と疑わなかったズートピアで、ジュディは当然のように現実を思い知り田舎に帰る選択をするも、持ち前の根性と運と狐の協力者のお陰で立派な警官へと成長してゆく。つまりアメリカンなサクセスストーリーだ。

もしもこれが人間の女性を主役にした物語であったなら、ここまでの評判にならなかったと思う。筋は単純明快で古典ですらある。様々な動物たちの特徴を上手く活かした脚色と、ズートピアの作り込みの細やかさの勝利だった。ジュディの地元は思わずもふもふしたくなる楽園でしかなかったし、大小違う動物がどのように共存しているかという部分もしっかり表現しているから世界観へスムーズに入っていけた。お話のアクセントになっているミステリー要素も、動物ならではの問題で非常に上手い。しかもそれら全てが我々人間社会と通ずるものがあるから、自然と”誰”かに対し自分を重ねることが出来てしまう。これを計算して行っているディズニーは、ある意味怖い。





小動物で田舎者で女性主人公で、男性ばかりの警察畑の話であるため、”差別”を描いた作品と言えるわけだが、ジュディの邪魔をする存在を一方的に断罪している人こそ、まさに差別主義者だなとネットの書き込みを見て思った。新参者にまず下積みをやらせるなんてどの業界でも当たり前だし、子供を心配しない親など普通ならありえない。なのに田舎なんて嫌だ、駐車違反の取り締まりなど嫌だと言っているジュディをあっさり肯定するのは本作を侮辱する行為ですらあるのではなかろうか?世の中からされて来たことを、自分も自然とやっていた事実にジュディは打ちのめされ、田舎へと帰ったというのに、その彼女を見て自分のやっていることを恥じることなく喚き立てているようでは、あの黒幕のメガネ女史と同じなのではないのか?


人は残念ながら差別を行う生き物だ。それを自覚し、少しでも是正したい気持ちが有るか無いかの差しかない。こんなに可愛いキャラクターを使って、元々解決のしようがない案件を打ち込むディズニーはかなりエグい。

なんにせよ、擬人化娯楽として無心になって楽しむのが吉だろう。個人的にはTVシリーズで続きを見たい。刑事物ならネタに困らないだろうし。



やっぱりディズニーは人間が出てこないやつが最高に面白いと思った。







posted by lain at 06:52北海道 ☔アニメ