自分で作らない人間が何を言っても仕方ないが...「ピアノの森 劇場版(2007年)」小島正幸(監督)/マッドハウス(制作)/感想

いつぶりなのかホテルらしいホテル(一応)に泊まる12日の出張に来ている。初日は移動と準備のみであっという間にやる事も無くなり、さっさとホテルに引き揚げると、独りきりになれた安堵で眠ってしまった。


しかしいつもと違う場所で過ごす時間は長いもので、いよいよ居眠りにも飽きてしまい、少々早いがコンビニご飯を食べつつ、気になっていた劇場版の「ピアノの森」でも見るかとなっていた。





現在某局にてガイナックス制作のTVシリーズが放送中の本作。久しぶりにガイナックスが自社の中身で仕事をしているのが嬉しいのもあって、なかなか良いじゃないかと思っていたのだけど、原作好きや劇場版を知っている人からは少々辛口のコメントが上がっていたものだから、そんなに劇場版は良かったのか?と気になってはいたが、こうして見てみると確かにアニメの出来はかなり良い。短い尺に収めるべくかなり改編されているというのに、ピアノの森の良さを殺さずに一本の映画として綺麗に鑑賞出来る物になっていた。特に雨宮修平のドラマとして綺麗にまとまっていたように思う。若き日の神木隆之介もなかなか修平くんにフィットしていた。



TVシリーズの3Dモデリングを採用した演奏シーンは違和感でしかなかったから、劇場版の要所を押さえた効率的にダイナミズムを表現する演奏シーンも満足度が高く、アニメは年月や新技術に関係なく良い物は良いのだと思わされた。


ただ、肝心のメインキャストのもう1人、一ノ瀬海役の上戸彩にはがっくり肩が落ちた。彼女自身は役によっては面白い女優ではあるため嫌いではないけれど、海に合うかどうかは別の話で、まるで男の子になり切れていなかった。


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大人の事情で、アニメーター達が丹念に作り上げたフィルムを台無しにしてしまうのは、アニメ好きとして非常に悲しい。アンバランスさを狙うにしても、風立ちぬの庵野秀明の様な人間的深みやキャラとダブる背景がある人物を配して欲しかった。


何処と無く雨宮修平目線で物語が進んでいったのは、監督の納得の行くキャスティングが出来なかったから雨宮修平に頼らざるえなかったのではないかと、ついつい勘繰ってしまう。


最初から天才的な存在である一ノ瀬海の恵まれない環境からの脱出劇は勿論面白いが、恵まれた環境にありながら挫折の日々を送る努力の男“雨宮修平”のドラマは更に面白いような気がしてならない。恋は落ちた者の負けだと言うが、一ノ瀬海のピアノに惚れた雨宮修平の運命も、2人が出逢った瞬間定まっていたのだろう。


結果が分かっているドラマはつまらないが、結果が決まっているからこそ儚さが倍増する場合もある。ピアノの森は勿論後者なのではなかろうか?







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posted by lain at 21:39北海道 ☔アニメ