雨降って”自”固まる「恋は雨上がりのように」渡辺歩(監督)/眉月じゅん(原作)/WIT STUDIO(制作)/感想

※ネタバレ





今では遠い昔の話だと思っていた甘酸っぱい感覚を思い出させてくれた。諦めることはないと思わせてくれた。そんな作品だったかもしれない....





気持ちを口に出すのが苦手な女子高生”橘あきら”が、部活で怪我をして落ち込んでいる時、雨に降られファミレスに立ち寄り、そこの店長(中年)の優しい対応にヤラレ恋に落ちて自身もそのファミレスで働くようになり、なんとか親密な関係になりたいとアプローチし始めるという展開で物語は動き出す。

こう書くとファミレスの店長(中年)ばかり得をしているように感じるかもしれないが、実際にはそんなことはなくて、どちらかが一方的に幸せになるハーレムアニメとはまるで性格が違う作品だった。お互いに諦めそうな夢があって、それを残念に思ってくれている親友がいて、ただの慰め合いになりそうなところをグッと耐えて本当の意味での両思いを手にしてゆく年の差の恋模様は、本当に綺麗な雨上がりの風景のようだった。

恋雨をこれほど気に入った大きな理由は、セリフに頼らず絵で語る部分が多かったこと。自分の気持ちを誤魔化すかのように冗談を言う店長(中年)は小説が好きなだけあって時々ポエマーになってしまうものの、それとは対照的に独り言どころか心の声すらあまり無い”あきら”はそれが顕著だった。よくぞここまで彼女や店長の”今”の感情を仕草や環境を使って丹念に表現したなと思った。いつの間にか子を産み、歌手ではなく脚本や構成までやるようになっていた三重野瞳(赤尾でこ)の手腕のおかげなのだろうか?それとも監督の演出力?原作が元々そういう上手さのある作品なのだろうか?もう原作を読んで確かめるしかないなと思った。



何にせよ、原作の良さを大事にしたいというスタッフの気持ちが伝わってくる良いアニメ化だった。枯れ果てたように思っていた恋心に潤いが戻ったようである。

最終的に2人がどうなったのかは分からないが、どう転んでも2人が分かち合った時間は永遠に消えないだろうし、彼女らを支え続けることだろう。




あぁ........恋したいね.............罪深いものを見てしまったなぁ...............







posted by lain at 06:54北海道 ☔アニメ