自分=迷宮 それが人生かも「迷宮」中村文則/新潮社

 胸を張って言うことでも無いけれど、僕は周囲から”面倒な人”だと思われている。実際自分でもそう思う。

 誰かと親しくなるとあえて距離を取ろうとしたり、ビンゴが揃っていても商品を取りに行かなかったり、PS版よりSS版(セガサターン)を優先し、好きな子に告白されても断り、些細な問題の引き合いに宇宙の創造まで持ち出したり、とにかく逆を行こうとする。それらの選択には中途半端な知識と局所的な経験、そしてマイナス方向への希望的観測が大きく影を落としているから嘘に塗れ放題ではあるものの、何処か確信に近い真実も含んでいるため、余計周囲を苦しめ、傷付け、タチが悪い。自分でもどうしてこんな悪癖を身に付けてしまったのか分からない。

 こんな自分と貴方は似ている。と言ったら、中村文則さんは気を悪くするだろうか?


 「悪と仮面のルール」を読んでみたいと思っているうちに、1年2年と時は過ぎ、本作が書店に並んでいるのを見かけて、ぶっちゃけジャケ買いしてしまった。黒髪の少女の裸体を折り紙が覆い隠しているような佐々木美穂さんのイラストに一目惚れだった。普段は少女を描く人ではなく、クライアントのイメージをそのまま形するような柔軟さのあるイラストレーターさんのようで、HPでその仕事っぷりを少し拝見しただけでも同じようなデザインが一つとして無いくらい多彩で面白かった。

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 で、肝心の中身はと言えば、少々胃にもたれるくらい陰気な主人公とストーリーで、自分の闇の部分を請け負ったもう一人の人格を持っていた男が、一家惨殺事件の生き残りである女に出会い、事件の真相と美しい女にどっぷり浸かって行くという内容は個人的に好きな部類ではあったものの、文章の書き方が少々好みでは無かったかもしれない。モノローグで語るのも多いし、普通の会話シーンでも説明が明快過ぎるのが苦手なのと、芝居がかった言い回しが鼻につくのも少々興醒めだった。そして何より、同族嫌悪的な物を感じずにいられなかったことが、本作を素直に愛せなかった一番の理由だと思う。やはり世代ごとの色からは逃れられないものらしい....

 吐き出したい想いが沢山あって、自分はこうしたい!と思っているのに、それを上手く形に出来ず鬱々と過ごし、溜まりに溜まって何もかもぶち壊したくなり、個人的な希望を世の中の事実とすり替え周囲に信じ込ませようとする感じとでも言えば良いのだろうか?言ってる自分でも良く分からなくなってしまうけれど、誰も幸せにならないような毒を振り撒きたがる癖が中村文則さんにもあるように思えてならない。たった1作読んだだけで判断するのは性急かもしれないけれど....



 こんなザマで「教団X」なんて読んだら、更に頭の中がぐちゃぐちゃにされてしまいそうで怖いw






 佐々木美穂HP http://www.h3.dion.ne.jp/~nilo/
posted by lain at 07:17北海道 ☔小説