うつのみこ日誌 九

 読む度に”何故?”という気持ちが湧いてしまうという、読破への道が険しいものになって来た宇宙皇子。おかげでページを捲る手も遅々として進まず、道中寄り道をしながらようやく妖夢編を乗り越えたら、もう10月になっていた。全巻読破は来年以降に持ち越しになるだろう。まさかこんなにも苦行になるとは思ってもみなかった.....




 天上界から戻って浦島太郎状態の皇子達が周囲とのギャップに戸惑い、永遠の命を授かっていない”苦須里”達三人が一気に年老いてしまうなど、指導者として修験者として今後どうあるべきか模索する彼らの様子には感慨深い物があり、なかなか良い幕開けではあったものの、結局やっていることは前と変わらず遅々として進まない。都では相変わらず権力争いで、後手に回る金剛山は新たな活動も出来ないまま翻弄され、それもこれも小角様の試練なのだと決めつける。

 それでも中盤までは”道鏡”という野心家が居たからまだ良かった。現人神としての使命より女としての生き方に興じた愚かな帝共々ドラマを盛り上げてくれた。道鏡との戦いや長年連れ添った仲間との別れにはじんわり来るものが流石にあった....問題はその後で、捻じれた都の中心で妖魔が蔓延るようになった辺りから、また進行の遅さが気になって仕方が無かった。同じような会話を繰り返し、「ふふふ」と必要のない笑い声や「———」←吹き出しを書きたがり、肝心の妖魔達の恐ろしさもイマイチ伝わらない(戦いのシーンは楽しめたけれど....)。いくら史実を動かさず進行するにしても、もっと脚色してファンタジー色を強めても良かったのでは無かろうか?

 何より残念なのが、せっかく主人公とヒロインが永遠の命を授かっているというのに、同じような時代しか舞台になっていないことだと思う。帝が絶対の世界で揺れ動く一時代をクローズアップするのも良いかもしれないが、平家と源氏や幕府の始まり、所謂戦国時代から黒船来航、そして大政奉還から世界大戦まで、永きに渡り浮世の姿と向き合わねばならない切なさこそ皇子達には体現して欲しかった。何十年も生きていると言うのに、いつまでも”何故?”と言っている姿を見せられるのは非常に白ける。”良い加減それくらい察しろよ....”何度そう思ったことか.....



 またも小角の試練とやらで乗り切った感のあった妖夢編。今度は地底の世界に閉じ込められるようだがどうなることやら。同じ作者の本を連続して読むしんどさを存分に味わったことだし、口直しに森博嗣先生の絶妙に切り落とした文章を読みたい気持ちでいっぱいである。

 (´-`).。oOプロット自体はそれほど悪く無いから、藤川桂介さんの文章力に上手く目を瞑って筋だけを拾い読み進めようかな.........
posted by lain at 11:58北海道 ☔小説